日塗工、建築の高耐久鉄部仕様の検証進む
現在、建築分野においても鉄部建築工事における高耐久水系塗料仕様の検証が、日本塗料工業会(毛利訓士会長)をはじめとしたワーキンググループで行われている。この背景には、2018年に構造物向けの水性塗料が規格化されたことで、建築物の鉄部の仕様として妥当かどうかという側面が浮かび上がり、検証を実施した。今後、屋外暴露試験等の良好なデータが得られれば、「公共建築工事標準仕様書」への記載を目指す。
試験塗料は、日塗工・技術委員会建築塗料の部会内で公募に応じたメーカー6社の製品を使用。上塗り、下塗りは同一塗料を用いて、比較する溶剤型塗料は、上塗り各等級で1水準とし、市場調査で実績のある仕様を選定した。金属の適用素地としては鉄鋼面、亜鉛めっき鋼面がある。実験結果では、鉄鋼面において、促進耐候性試験、屋外暴露試験ともにJIS K 5659B種(水性)に規定する値に十分耐えるとしている。現在得られている屋外暴露は、1年経過のみのため、今後も継続し、実情に即した塗装仕様であるか検証を行っている。亜鉛めっき鋼面は、とりわけ塗料との付着が悪いとされている。しかし、こちらも最新の実験結果(サイクル腐食性試験結果)においても、溶剤型塗料と同等もしくは同等以上の結果を得られている。現在、同仕様において屋外暴露試験も実施しており、今後の結果が得られた段階で公表するという。
同検証は、新設工事によるものとなる。公共建築工事標準仕様書は3年ごとに改定され、新設工事においては2025年改定時に盛り込みたいとしている。一方で、改修においても検証を行い、データが揃った段階で新設の後に仕様書への記載を目指す。現在の結果では、成膜すれば、溶剤塗料と同様の性能を得られるとしている。一方、水性塗料は塗装時の温湿調整が必要となり、地域や用途に応じて、作業性や乾燥性の違いを考慮する必要がある。一段と普及するためにも、管理指針の構築が必須となる。