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第1四半期・メーカー決算概況 、建築分野が回復傾向

上場する主要塗料関連メーカーの2023年第1四半期決算が出揃った(集計13社)。需要は回復傾向にあるが、各社価格転嫁により増収を図るものの、回復幅が読みにくい状況になった。

建築分野では、都市部による工事延期のあった大型プロジェクトの工事再開や、大規模修繕、工場改修等で収益増の要因がうかがえた。改修では環境対応製品、高機能製品、猛暑下のニーズに対応した遮熱塗料の拡販等で、業績を伸ばしたとするメーカーも見られる。
 
工業分野では、自動車・新車で、中国・上海でのロックダウンや半導体等の部品供給事情により、自動車メーカーの生産調整が継続。同時に塗料受注が減少した。半導体は供給不足に加え、需要が増加していることからも、自動車部品向けに半導体が回らず、長期化する恐れが出ている。
 
一方、その他工業分野では、建築資材・建機・農機・工作機械分野向け塗料が堅調に推移するものの、需要家により回復幅に波が生まれた。建築資材は郊外の戸建て需要も増加していることから、サイディングなどの窯業建材向け塗料が好調。一方、自動車同様の理由により、プラスチック塗料の減少が見られた。
 
利益について集計した13社の内、前年度比較可能な6社で減益。原材料価格の高騰で、価格転嫁を実施するも利益増まで補いできずに着地した。収益および売上高の減少により通期業績予想を修正したメーカーが2社となった。
 
原材料価格高騰について、既に関西ペイントが10月1日分より、塗料やシンナー等の価格改定を表明している。2021年から3度目の発表となるが、各社も続いていきそうだ。各社の価格戦略に注視する必要がある。