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大伸化学、 素地塩分除去を新開発 水洗工法の代替に期待

大伸化学、オー・ジー、極東メタリコン工業の3社は、構造物の塗装塗替え時の素地調整の塩分除去に、化学的アプローチによる業界初となる製品を開発したと、3月15日発表した。特に今まで水洗が実施できない橋梁(河川や住宅街)における塩分処理に使用する材料として期待がかかる。

現在、塗装塗替え時の素地調整に含まれる塩分除去は、水洗工法または、ブラスト工法が一般的である。水洗工法は、一級河川等の排水処理ができない箇所や、排水の工程に時間を必要とする問題があった。また、表面層の塩分を落とすことはできるが、内部に浸透した塩分は除去できないという課題もあった。一方、ブラスト工法においては、廃棄物や研削材を回収する課題が常に存在する。

新開発した造膜型塩分低減剤「ソルトリッパーFM」は、エアレス塗装等で塗布するだけで、鋼材面に付着した塩分を低減できる。乾燥後は、成膜した塗膜を手で剥離することが可能となり、残存塩分濃度が高い部分は、茶褐色の斑点状となるため、塩分の見える化にもなる。また、窪みとなる孔食箇所も、塩分を低減する効果がある。

塩分を低減するメカニズムは、主成分である水が残存塩分を溶解させる。その後、乾燥する過程でソルトリッパー中の樹脂側に塩分が移動し、薄膜化した樹脂に物理的に捕捉される。以上がメカニズムとなる。また、乾燥過程で発生した鋼材由来の鉄イオンも同時に取り込み、空気中の酸素と反応することで、浮き錆を生じさせる。塗膜が乳白色から半透明になると剥離可能となり、塗膜が、シート状で浮き錆ごと剥離できる。乾燥時間の目安は12~24時間。




なお、テストピースの実験段階ではあるが、内在塩分も水洗工法より3分の2低減したデータも存在する。表面のみの塩分低減に留まらない工法と期待されている。検討している施工方法は、塩分測定→素地調整→塗布→乾燥→塗膜除去となるが、工法は実証を経て確立していく。こうした工法に関しては、共創企業をはじめとした顧客のヒアリングを加味し、改良が進むとされる。
℡03・3432・4786(大伸化学)