日本ペイントHD、MSVゴールに展開
日本ペイントホールディングスは2021‐2023中期経営計画の進捗について、4月7日午後1時30分からオンラインで説明した。アセット別、サステナビリティ、M&A、財務の各戦略について説明があった。
アセット別戦略では、中国建築用市場は不動産市場が中古住宅時代に突入したことで、塗替え市場が拡大している。BtoCビジネスのTUC(Trade Use Consumer)、BtoBビジネスのTUB(Trade Use Business)ともに築年数の経過した既存住宅が増加し、修理やリノベーション、再塗装の需要が高まっているという。2023年および2024年以降の施策として、TUCは製品ラインアップの拡充やブランド構築・ブランド力向上の継続、顧客および販売チャネルの最適化・拡大を実施。TUBは顧客基盤の多様化や高付加価値の提供を行う。
日本市場は、マージン改善の取組みとして、原材料価格の高騰に伴う製品値上げを、汎用は昨年5月に、工業用は昨年4月と10月に実施。 インドネシアは、ブランド力のさらなる強化や販売チャネル・塗料周辺事業の拡大を推進。太平洋・欧州は、リーディングポジションである太平洋市場での成長継続と、欧州での成長拡大を目指す。
また、船舶用と自動車用の構造改革、生産や品質の改善策、行動指針「J‐LFG」導入など、事業構造やマインドセットの変革に取り組んだ。2023年以降は、トップライン拡大による市場シェア向上(自動車用、汎用、工業用)や、販管費コントロールの徹底でさらなるマージン改善を図る。
サステナビリティ戦略は、2022年からのMSV(株主価値最大化)をゴールとするビジネス主導の自律型サステナビリティ体制を構築。チームリーダーが共同社長に直接報告し、共同社長は取締役会に進捗や提案を随時報告するボトムアップ型となっている。
体制は、マテリアリティをベースの三本柱(環境&安全、人とコミュニティ、イノベーション)と、マテリアリティを横断する二本柱(カバナンス、調達)でチームを編成。各チームは次の行動を進める。
▽環境&安全=気候変動対応を新たな機会と捉えつつ、CO2排出に係るリスクを把握・抑制。
▽人とコミュニティ=アセット・アンブラーモデルの強みである多様性を確保し、人的資本を拡充。
▽イノベーション=低炭素化や化学物質管理を進めたサステナブル製品を投入し、新市場を創出。
▽ガバナンス=アセット・アンブラーモデルを支えるグローバルリスクマネジメント体制を強化。
▽調達=サプライヤーとのコミュニケーションを深め信頼性を強化し、新たな機会を創出。
M&A戦略については、グループのプラットフォーム活用や、日本という安定通貨・安全市場での調達力などの強みを生かして、建築用や工業用塗料や、その周辺をターゲットとする。地域は基本的にMSVに資する案件なら問わない。
財務戦略は、財務規律を維持しながら成長投資やM&Aを優先的に実施。EPS(1株利益)の増大を通じてTSR(株主総利回り)を向上させることに主眼を置く。特に、戦略重要性の高いM&Aについては、一時的なレバレッジ上昇も容認する。なお、株主還元は配当性向30%の維持を掲げる。