女性ネットワークの会、建築現場見学会
日本建築仕上学会 女性ネットワークの会(熊野康子主査)は、活動開始から10周年を記念して10月6日、竹中工務店が施工中のブランズタワー大阪本町新築工事(大阪府大阪市中央区南本町2丁目)で関西地区初となる建築現場見学会を実施し、19人が参加した。
現場に携わる同社の林茂史所長は「この建物は、女性職員の力なくしては施工することができなかったといえる。この現場は最大で20人の所員のうち女性技術者が5人所属している。女性専用のトイレはもちろん、こまちルーム(休憩所)も設置し女性技術者が心地よく仕事をしてもらうための工夫をした。これからは女性技術者が活躍する現場が増えていくと思う」とあいさつを述べた。
最上階のラウンジスペースを中心に、おもに内装材の施工について見学を行った。当日は晴天に恵まれ、最上階のラウンジからは、あべのハルカスや大阪城なども望むことができた。見学後は実際に現場で勤務する竹中工務店の女性技術職員が4人参加し、林所長を交えてトークイベントを行った。女性技術職員は女性チームを結成し、現場仮囲いを一部透明にしてチューリップを植え周囲の近隣に対しての美化活動を実施している。竹中工務店での男性の育児休暇の取得状況なども説明され、取得率が上昇しつつあるという結果を報告。
最後に、女性ネットワークの会熊野主査より9年に及ぶ5回のアンケート結果のまとめと傾向の発表があった。9年間の傾向では女性の技術者にも高年齢化が見られること、女性技術者が男性技術者との仕事上で待遇の差を感じるとした回答が70%も占め、6年間数値が変わらないことが報告された。
一方で、現場で働く女性に既婚者や子育て中の女性が増え、すでに夫が育児休暇を取っているという回答者も増加し2023年では5%程度で、現場でも子育て支援が進みつつあることが示されているとした。参加者からは「天気も良く、いろいろな見学ができてよかった」「女性が働くことに必要な知識が得られてよかった」という感想が寄せられた。
アンケートの内容は、10月末に発行される女性ネットワークの会の新刊本「続、続・今、建築仕上げ女子がアツい」に掲載される予定。