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【決算】メーカー概況、建築分野に回復基調

上場する主要塗料関連メーカーの2025年第2四半期決算が発表された(集計12社)。需要は引き続き企業収益や雇用環境の改善等を背景に、全般的には緩やかな回復基調が見られた。一方では長期化する地政学的なリスクや資源価格・材料価格の高騰、物価の上昇等が継続しており、依然として先行き不透明な状況が続いている。
 

   
建築分野の汎用・床材塗料では、水性関連等環境適応型製品が好調であった。塗り替え市場は、集合住宅大規模改修工事の売上が増収に大きく貢献。また、耐久性や低汚染性、遮熱などの高機能製品が増収に寄与した。 
 
新築においては、引き続き主要顧客の受注が伸び悩んでいる影響を受け、需要が低調に推移した。
 
工業分野では、一部市況の回復や粉体塗料の新規獲得の進展がみられた。また、プラント向け重防食塗料が堅調に推移するも、建材向けの需要が軟化して推移、建材用塗料は需要停滞が継続した。
 
自動車は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止や台風に伴う工場の稼働停止や中国を始めとするアジア地域におけるEV市場拡大を背景とした販売低迷等の影響を受け、売上高減少が目立った。
 
家庭用分野においては、ホームセンターの新規獲得と企画提案活動に加え、インターネット販売が順調に進み堅調に推移した企業があった。
 
船舶分野では、新造船および修繕船向けの需要が堅調に推移する中、製造コストに見合った販売価格の適正化を推進したことなどから需要は増加。修繕船向けでは高付加価値製品の販売を促進するも入渠船が減少したこともあり横ばいの推移となった。
 
集計した12社のうち、売上・利益ともに前年度と比較して増加した企業は9社であった。価格改定による利益増加がみられる一方で、未だ続く原材料価格の高騰により、利益確保に影響を与えている状況もあった。しかし、半数を超える企業が利益もプラスとなっていることから回復傾向が見られた。