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「四季島」の客室内装に 浄法寺漆産業の漆塗りパネル

「上質な空間」を演出する漆塗りパネル壁材(JR東日本提供)

「上質な空間」を演出する漆塗りパネル壁材(写真=JR東日本提供)

今年5月より運行が開始したJR 東日本のクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」(以下「四季島」)。客室内装には、浄法寺漆産業(岩手県盛岡市・松沢卓生社長)が製造する国産漆塗りパネル壁材が採用された。

漆パネル壁材は、黒と朱、2種類の漆塗装を施した長方形のパネル壁材。黒パネルはアルミ製板に国産漆を精製した黒漆を塗り重ね、「呂色」という技法により磨き上げ、鏡面のように仕上げている。深みのある漆黒が特徴的だ。一方で、朱パネルは黒漆を塗った上に布を貼り、さらに朱漆を塗って表面を磨いている。布着せの粗目の表情とランダムな赤黒の模様が生きる。

「四季島」の各客室すべてにこの漆パネルが壁材として埋め込まれている。弊社の取り扱う「浄法寺漆」は日光東照宮や金閣、皇居正門などの修理修復に使用される高い品質の漆として知られている。

そもそも、「四季島」は新しい時代の豪華さに満ちたスタイルとして、旅先の各地の食を楽しみ、移ろいゆく時間の中で歓談するかけがえのない体験や、移動するダイナミズム、自然の雄大さなど、列車ならではの贅沢を「上質な空間」として表現している。この上質な空間演出に国産漆塗りパネル壁材が選ばれた。また、上質な地域の素材を取り入れる「四季島」のコンセプトに国産漆塗りパネル壁材はふさわしい。

浄法寺漆産業は2009 年創業。元岩手県職員の松沢卓生が起業し現在代表取締役を務める。国産漆の産地・岩手県産の漆を使った漆器の企画・小売を行い、2011 年度、2013 年度、2016 年度グッドデザイン賞を受賞。レクサス NEWTAKUMI PROJECT の匠に選出された。

器以外の分野での国産漆の積極的な活用を提案。トヨタ自動車「アクア」への漆塗装も手がける。東京、大阪での漆器展示会を企画、実施しているほか、ニューヨークやパリ、香港などでの海外見本市にも積極的に出展し、好評を得ている。

新しい時代の豪華さに満ちたスタイルを提供する「四季島」(写真=JR東日本提供)

新しい時代の豪華さに満ちたスタイルを提供する「四季島」(写真=JR東日本提供)