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地下鉄銀座線がデザインコンペ 五輪の訪日外国人も意識

2016.10.27

東京地下鉄(東京メトロ)は日本で最初の地下鉄路線(浅草―銀座=昭和2年開通)が前身で、平成24年に開業85周年を迎えた銀座線の全駅リニューアルに取り組んでいる。リニューアルに当たっては駅を下町からトレンドまでの5エリアに分け、それぞれのエリアのデザインコンペを実施。最優秀作品などの入賞デザインは各駅のリニューアルの設計に反映させる。地下鉄駅構内には塗装を施した部材も多く、設計デザインの行方が注目される。

東京地下鉄は平成34年度までに銀座線全駅リニューアルを完成予定

東京地下鉄は平成34年度までに銀座線全駅のリニューアルを完成させる予定だ。特に東京五輪がある32年(2020年)の夏までには銀座駅のみの銀座エリアはもちろん、ビジネスエリアを除く、下町と商業、トレンド(表参道駅、渋谷駅は除く)の3エリアも工事を終える構えだ。五輪で訪れた訪日観光客らに新装なった駅を楽しみ、快適に利用してもらうのも狙いになる。

デザインコンペは4エリアですでに終了。残った作品募集中(12月2日まで)のトレンドエリア(渋谷を除く青山1丁目、外苑前、表参道の3駅)のコンペでは「常に新しいトレンドが発信されるエリアであり、メトロに乗る魅力的な経験そのものがトレンドになるような2020年より先を見据えた未来の駅デザインを期待している」(東京地下鉄)とのことだ。

トレンドエリアにふさわしいグローバルなコンペを目指し、海外からも多数の応募を得られるように、訪日外国人や海外へのPRにも意欲的だ。終了した4エリアのコンペでの最優秀賞や優秀賞のデザイン、色彩の傾向や特徴は次の通り。

〈下町エリア(浅草~神田)〉=地域に受け継がれる伝統文化や歴史、手仕事を感じさせるデザインモチーフのほか、下町のほっこり感が感じられる温かみのある素材感(木、石、ガラス)や色彩が多い。

下町エリア最優秀賞


〈商業エリア(三越前~京橋)〉=全体的に明るくにぎわいと活気が感じられるイメージでありながらも、百貨店のような上品さを表現するデザインが多く、木や石など素材本来の質感や色を意識したデザインが多い。

商業エリア最優秀賞


〈銀座〉=デザイン的に明るいイメージで上品さを表現するデザインが多く。また、デザインイメージは先端、歴史、和など多様であり、先端:ガラス、歴史性:煉瓦・石、和:木など、素地そのものによる表現手法や光環境によるものが多い。

銀座駅最優秀賞


〈ビジネスエリア(新橋~赤坂見附)〉=地域の歴史や文化をデザインモチーフとして、分かりやすく直接的に取り込んでいる作品が多い。また、ビジネスパーソンの癒しを意識した上品で落ち着いた色彩が多い。

東京地下鉄では各エリアの最優秀賞の作品のデザインを基本として、すべての入賞作品に共通するアイデアやデザインの考え方を整理、分析。その結果を得て各エリアごとにコンセプトやデザインを設定したデザインガイドラインを策定し、形や色、素材、照明などについて各駅の設計を行うという。

下町エリアのリニューアル工事は29年度に完成の予定。商業エリアも三越前駅以外は今年度から入り、31年度に完成させる。ビジネスエリアも赤坂見附と溜池山王駅以外は29年度着工で、虎ノ門駅は33年に、新橋駅は34年に完成予定だ。

トレンドエリアは表参道と渋谷駅以外は30年度着工で31年度に完成予定。渋谷駅は31年度に新ホームの使用開始を予定し、表参道駅の完成は未定。塗料・塗装の需要も十分に見込める。
街の要素(歴史、文化、土地の記憶)の取り入れも条件のデザインコンペ。4年後に迫った東京五輪での〝おもてなし〟も意図した銀座線の一気の若返りが注目される。