三洋化成、樹脂改質剤を開発 親水性高める
三洋化成工業は、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂に練り込むだけで、表面処理なしでも樹脂表面を親水化し、持続的に塗装・接着性を付与することができる樹脂改質剤「メルアクア350L」を開発した。 ポリオレフィン樹脂は、成形加工性や耐薬品性に優れ、軽量かつ安価であることから幅広い分野で使用されている。しかし、ポリオレフィン樹脂の表面は極性がなく疎水性で、塗料や接着剤に対する濡れ性(親水性)が低いため、塗装・接着が困難であった。
「メルアクア350L」は、ポリオレフィン樹脂と親和性の高い疎水性のセグメントと、親水性の高いセグメントの両方を有する高分子化合物(ポリマー)。〝ポリマーをポリオレフィン樹脂に練り込み、その表面へ偏在化させる〟という知見を応用して開発した「メルアクア350L」は、ポリオレフィン樹脂に10重量%程度練り込むことで、その親水性セグメントがポリオレフィン樹脂成形品表面に配向し、樹脂成形品表面の親水性を高め、塗装・接着性を向上することができる。
同じく疎水性セグメントと親水性セグメントからなる低分子の界面活性剤と違い、「メルアクア350L」はブリードアウトせず、親水性付与効果を長期間にわたって発揮。また、耐熱性や樹脂強度など樹脂物性への影響もほとんどない。「メルアクア350L」を練り込んだ成形品は表面処理が不要であり、表面処理の設備、処理時間、人件費などを削減することが可能になる。また、効果が持続するため、次工程への時間的制約もなくなり、生産工程の自由度も高まる。さらに、「メルアクア350L」と表面処理を併用した場合は、これまでにない高い塗装・接着性が得られるため、これまで実現できなかった用途への展開など、ポリオレフィン樹脂の応用の幅が広がることも期待できるという。