特集 塗膜の自然剥離を抑制 厚膜旧塗膜を生かせる
1950~1970年代に建造された多くのインフラストックは、50年以上が経過した現在も継続して供用され続けている。これら鋼構造物の多くは、10~20年ごとの補修塗装により設備の長寿命化が図られてきた。しかしながら、度重なる補修塗装により厚みを増した塗膜は、徐々に内部応力が大きくなり、自然剥離に至るリスクが高まっている。
こうした背景から、大日本塗料は四国総合技術研究所などと、この課題の解決に向けた共同研究を行い、線膨張係数に着目した全く新しい設計コンセプトの塗料を開発した。同社は「ケルビンα2・5」という名称で2018年10月より販売を開始し、構造物の維持管理に携わるユーザーから大きな反響があるという。
同製品は塗装することで塗膜の自然剥離を抑制するという画期的な効果を有している。そのため、厚膜となった鋼構造物の補修塗装として、従来と同様に活膜の旧塗膜を残した状態で塗料の塗り重ねを行っても、塗膜の経年剥離を抑制できる。そのため、鋼構造物の耐久性向上とLCC低減を両立することができ、インフラストックの長寿命化に大きく貢献することができる。また、同技術はNETIS SK‐190005‐A認定「剥離抑制型弱溶剤変性エポキシ樹脂塗料」を取得し、今後さらなる展開の拡大が見込まれている。
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