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東京モーターショー2019開催

「第46回東京モーターショー2019」(以下、TMS2019)が114日に12日間の会期終え閉幕した。本紙では自動車のエクステリアを中心にコンセプトカーや最新のカラートレンドを写真中心に塗料・塗装目線でレポートする。

コンセプトカー SNS映えするマット塗装 グロスやカラーの組合せも見られる

TMS201912日間で参加者130900人を集め「OPEN FUTURE」をテーマに、総勢192企業・団体が参加した。「クルマ・バイクのワクワクドキドキ」から「未来の暮らし」「未来の街」にまで領域を広げ、各メーカーが新車や技術を発表する前回の展示会から変化の兆候が見られた。

こうした中でも、コンセプトカーには写真撮影の列が並び、トヨタブースの2人乗りEVスポーツカー「eRACER」は艶消しブラックのマット塗装のボディーと光沢のあるフェンダーとの組み合わせが特長的で、まさにSNS映えする車種だった。

EVスポーツカー「e-RACER」(トヨタ)

 

前回のTMS2017でも艶を落としたマット塗装を施すコンセプトカーは多く見られたが、今回もスズキのコンセプトカー「ワクスポ」のボディーカラーには、クリヤー塗装を施さないホワイトと側面はグリーンのマット塗装が施されている。担当者は「市販車でもマット塗装をデザインに入れたいが、補修の部分でどうしても難しい」とのことだ。マット塗装ではないが、艶を落としたように見えるコンセプトカーは他にも見られ、純銀をカラーイメージに置いた日産「ニッサン IMk」、艶をおさえている三菱自動車「MITECH CONCEPT」などがそれに当たる。

PHEV「ワクスポ」(スズキ)

 

カラートレンド 多色の組合せが継続トレンド 1車種から多彩のスタイル提案

コンセプトカーから市販車に目線を変えるとツー・トーンカラーをはじめとする色の組合せで魅せる展示車が多かった。ソウルレッドでマツダレッドを創り出したマツダも同社初の量産EVMX30」の発表車には、ボディーベースはホワイト、窓まわりのピラー部分はシルバー、ルーフはブラックとスリー・トーンカラーであった。通常の塗装工程より2工程増やしており、同車種は2020年欧州からデビューを飾ることになる。

3色使いの「MX-30」後部側面(マツダ)

 

カラーバリエーションが販売戦略の変化の一部にもなり得る。ホンダブースの4代目となる「新型フィット」は、ユーザーが排気量やエンジン性能で選ぶのではなくライフスタイル・ステージに合わせて選択できるような販売戦略を取る。同じフィットでも、BASICHOMENESSCROSSTARLUXE5グレード・コンセプトを提案する。例えば、NESSはフィットネススポーツを連想させる軽快でファッショナブルな仕様となりスタイリッシュなエクステリア、インテリアが特長的であった。

NESSグレードの「新型フィット」(ホンダ)

 

イサム塗料 板金塗装業界の認知拡大活動 動画で若年来場者やカーオーナーに

唯一塗料メーカーから出展したのがイサム塗料。出展ブースのテーマを”Paint & Innovation”に設定し、自動車補修の認知を広げるPRを中心に置いた。
ブースには自動車補修工程を説明する動画を大画面で映し、一般公開日には多くの来場者が足を止めていた。同社ブースでは、塗料製品を極力置かずに、自動車補修業界を知ってもらう機会をより増やす活動に専念した。

この背景には、自動車鈑金塗装業界の人材不足があり「自動車修理業はカッコ良いものだと見せる必要がある」(同社担当者)と、若い人に業界の魅力を伝えきることが不可欠と感じた上での出展内容となった。
折しも、TMS2019は、体験型のコンテンツを充実させ14歳以下が前回比約7割増加した。イサム塗料のターゲット層である若年層はもう少し高い年齢であるが、今後を担う若い人達に業界全体でのPRは継続性が重要であろう。

12日間業界PRを続けたイサム塗料ブース