IT導入補助金、3次締切は9月30日まで
中小企業の課題の一つである生産性向上。新型コロナウイルスが感染拡大する前より、デジタル化への移行が進められてきた。しかし、コロナ禍において、デジタル化は仕事の核心となる業務の見直しや新プロジェクトの創造を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)とその意味が拡張した。ITシステムの更新から企業文化刷新の問題へと、1段も2段も高い概念の共有化が広がり、企業経営の革新が求められた。
業務改善のモニタリングにもなり、IT導入の補助金を得られる可能性があるのが「IT導入補助金」。採択には時間と労力も必要となるが、補助金の性質を知っとくことに損はない。
同補助金事業は、経済産業省が実施。業務効率化、経営力向上を目的に中小企業・小規模事業者のITツール導入費用(最大450万円)を支給する制度である。なお、2021年度の特徴としては新型コロナウイルス対策を視野に入れた特別枠「低感染リスク型ビジネス枠」が新設されている(5類の枠がある)。昨年は計10回の申請回数があった。今年は、去年より少ない公募の可能性がある。直近の3次申請の締切は、9月30日(木)17:00までとなる。
同補助金の特別サイトなどで、概要を調べた上で、申請手続きは「IT導入支援事業者」と進めることになる。支援事業者はツール情報の提供や、申請・報告に必要な情報、導入実績その他、導入後のサポート・アフターフォローなどが役割となる。支援者選定に既に導入ツールの検討があれば、ベンダーへ相談するのもよい。
これまの採択率を見ると、2019年度は約33%、2020年度は42%。5割を割り込むが、2020年の実績を詳しく見ると1回目から7回目までは、50%の採択率であった。その後、採択率は低くなっていった。そのため、年度の早めに申し込むのが有利との見方もとれる。
DX推進には、現在の課題を洗い出し、その課題に対し優先順位を付け、どのような技術(テクノロジー)を使い、成果を得られるかという非定型的な業務が必要となる。IT導入補助金の採択・交付決定後には、実施報告、経過報告書などの提出を求められるため、効果測定も同時に組み込む必要がある。同補助金の審査内容のポイントとして、「自社の課題把握」「ITツールの導入後の効果」「計画目標値」などを審査しており、業務の見える化にもつながる。