関西・高機能塗料展、感染予防対策講じ開催
リードエグジビションジャパンは、10月7日から9日まで、大阪府大阪市住之江区のインテックス大阪において第3回「関西・高機能塗料展」を開催した。当初、5月の開催予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で会期が延期、出展者・来場者のマスク着用の義務付や入口での体温測定、消毒スタッフの配置、空調設備での常時換気など、感染予防対策を講じての開催となった。同時開催展と併せて来場者数は延べ1万273人(主催者発表・速報)であった。
コロナ禍の高機能塗料展 リアルの底堅さとオンラインの可能性
前年より来場者は減少となった同展であるが、出展者に話を聞くとは「思いのほか客が来ていた」「このような時期に展示会へ足を運ぶ客層は反応が良い」、と手応えを感じているようだった。外国人来場者が参加できない状況の中でも、人だかりになる時間帯もあり、リアルの場の展示会の底堅さを感じた。今年の出展者の傾向は、商材を複数ではなく、1点や2点に絞り込み訴求するブースが多かった。
一方、主催者は同展の新たな試みとして「オンライン来場・商談サービス」を準備した。同サービスは、チャットやビデオ通話で個別の相談・商談、資料のダウンロードが行えるもので、出展者はオンライン上で仮想ブースを設けオンラインで商談を行う。来場者は事前登録でアカウントを取得し、会期中の時間帯にいつでもオンラインで参加ができる。出張制限が解けていない企業や地方からの参加に加え、来場できなかった外国人の参加が多い傾向があったという。
塗料報知新聞社もリアル、オンラインの双方にブースを設け〝業界ナビゲーター〟として、塗料・塗装、コーティングのお困りごとについて業界の窓口となった。オンラインでの質問を紹介すると「医療機器に使用する塗料、コーティングに関する情報を求めている」、「綿布にゴムコートしたシートに水溶性のふっ素樹脂コーティングがされているものがあるが、確実にふっ素系のコーティングを除去したい」など、ピンポイントの質問が多く見られ、回答には適切な企業や団体を紹介した。
コメント
▽日本塗料工業会普及広報部部長・畑雅人氏=コロナ渦のなかで開催となった、関西高機能塗料展は、出展スペースや、来場者は昨年比較で3分の1と縮小したものの、出展社の熱意のある商品説明、来場者の探求心のある情報収集の姿勢が有意義な展示会であったと感じた。
足元の塗料需要は、依然厳しい状況にあるが、高機能塗料展がきっかけとなり、新商品へのニーズと提供が活発となって、需要回復に転じることを期待する。
▽リードエグジビションジャパン執行役員・土屋勝利氏=コロナ対策を徹底しながら1万273名に来場いただき、同時開催展を含めると2万7529名が来場した。盛況に開催できたことを嬉しく思っている。
会場ではブースでの商談に加えて、オンライン来場・商談サービスを活用する企業も多く、手応えを感じている。12月の幕張展ではさらに規模が大きくなる。残りの出展スペースが限られているので、検討中の方は早めに連絡してほしい。また招待券・オンライン来場の登録も随時受け付けている。
関連セミナーにも注目集まる
会期中には、ホソカワミクロンワグナー、大日本塗料、ABB、ピーピージー・ジャパンなどの関連セミナーも開催され、こちらも多くの参加者を迎えていた。
(セミナーの詳細については、業界専門紙『塗料報知』10月17日号<第4299号>にて掲載)
ブースフラッシュ
【塗料・コーティング】
関西ペイント
関西ペイントは出展テーマを「拡がる感染対策シリーズ」として、抗ウイルス機能を有する漆喰塗料の横展開となっている製品群を一挙紹介した。展示会会期前の10月5日には、漆喰塗料の新型コロナウイルスに対する不活化を実証したこともあり、来場者を多く集めた。
横展開の製品の中には、既に上市されているテープやシートの他に、抗菌・抗ウイルス段ボール簡易トイレや工業製品への応用まで参考出品を含む同シリーズの拡大が見られた。
大日本塗料
大日本塗料も製品1本に絞り、抗菌・抗ウイルス室内用水性塗料「COZY PACK Air(コージーパックエアー)」を大々的にアピール。担当者によれば、採用事例も徐々に増えてきており、色相も幅広い。抗菌・抗ウイルス効果の他には、通常のエマルジョン塗料よりも臭気をさらに抑えた「超低臭」が特徴。病院や空港など24時間稼働施設であっても施工が行える。また、「コーティング技術センター」、「防食技術センター」の紹介も行った。
シミズ
電着塗料を主力に開発・製造・販売しているシミズは、金属部品に対する部分絶縁の提案を行った。ポイントは2~5μmの薄膜絶縁コーティングを均一に行えるという点だった。特長はROHS、SVHC懸念物質を含まない。微細部品でも必要な部位にコーティングでき、部分絶縁も可能となっている。新塗料の設計、合成、分散、製造、加工までの一環したサポートシステムや、試作品、小ロットなどの加工業務を行っていることをアピールした。
クリスタルプロセス
クリスタルプロセスは、金属表面をガラスに変える「無機質ガラス塗料」を紹介した。プライマー処理不要の1液性で、吹付後は自然乾燥。加熱などの設備は不要である。鉄・アルミ・ステンレス・真鍮・銅といった金属基材の表面をガラスに変えられる。また、無機質ガラス塗料の中にナノ分散することで透明性を維持して着色ができる。
その隣のコーナーでは「メッキ被膜剤」によってポリッシャーで鏡面メッキ被膜を形成するデモを行った。
日研工業所
日研工業所は、人にやさしい環境対応の塗膜コーティング「バイオコート(G)」をアピールした(SIAA登録)。これまでの抗菌・防カビコートは抗菌・防カビ機能のみであったが、同コートは従来の大腸菌・黄色ブドウ球菌・MESA・O-157などへの抗菌作用、防カビ、防藻作用はもちろん、インフルエンザウィルスA型HINI不活性化の効果も付与されグレードアップされた。食品衛生法・食品、添加物などの規格基準に適合している。
野田スクリーン
野田スクリーンは、ふっ素樹脂化成品を中心に事業展開している。熱硬化型ふっ素系クリアコート剤「Shieidsシリーズ」は、ふっ素樹脂を配合した熱硬化型のクリアコート剤である。反応硬化による強固なネットワークとふっ素樹脂との相乗効果で優れた撥水撥油性・防汚性・耐薬品性・耐候性を発揮する。