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【決算】大日本塗料、売上微減も利益大幅増

大日本塗料(里隆幸社長)は5月10日、2024年3月期連結決算を発表した。売上高は前年同期比1・2%減の719億4千万円、営業利益は同24・2%増の49億100万円、経常利益は同23・6%増の53億3600万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同33・0%増の46億円となった。
 
セグメント別の業績では、国内塗料事業は、一般用分野では一部製品における不適切行為問題の影響等により需要が減速したが、前期に実施した価格是正の通期寄与や高付加価値商品の拡販により、売上高は前期を上回った。工業用分野は新設住宅着工件数の減少による建材用塗料の需要減少が影響し、売上高は前年水準に留まった。セグメントの売上高は、当期初に実施した粉体製造会社の合弁解消に伴う売上高の減少約35億円により前期を下回ったが、利益面への影響は僅少で、営業利益は前期を上回った。この結果、売上高は同5・1%減の505億5100万円、営業利益は同10・8%増の22億円となった。
 
なお、不適切行為問題に伴うJISマーク表示の一時停止については、2024年3月7日付で処分が解除されている。一時停止期間約4ヵ月における対象製品の売上高は前年同期比で約4億1千億円の減少となった。
 
海外塗料事業は、東南アジア地域のシンガポールおよびマレーシアでは周辺地域の景気悪化に伴い外装用建材塗料の需要が減速したが、タイおよびインドネシアでは自動車部品用塗料の新規案件の獲得により、売上高は前期を上回った。メキシコは自動車生産台数の回復により需要が増加し、売上高は前期を上回った。中国は日系自動車メーカーの減産影響による販売低迷が継続し、売上高は前期を下回り、中国事業はグループ最大の課題となっている。しかし、セグメントの売上高および営業利益は、需要の回復基調に加え、円安による為替換算の影響により前期を上回った。この結果、売上高は同5・7%増の85億2900万円、営業利益は同4・9%増の4億1600万円となった。
 
なお、同社グループでは中国において2社の連結子会社を有していたが、事業合理化の一環として2024年3月に1社の持分譲渡を完了した。
 
照明機器事業は、業務用LED照明分野ではインバウンドの回復や首都圏再開発等を背景に商業施設向けや建築向けを中心に、前期に引き続き需要が増加した。UVランプ分野では主に半導体関連市場向けに紫外線殺菌用途の需要が増加した。さらに、原材料価格の高騰を機に実施した新たな価格体系の導入が奏功し、セグメントの売上高および営業利益は前期を大きく上回った。この結果、売上高は同13・2%増の96億8600万円、営業利益は同19・5%増の18億9千万円となった。
 
蛍光色材事業のセグメントの売上高は、売上高は同1・8%増の11億7500万円、営業利益は同40・0%減の2800万円となった。
 
その他事業の塗装工事業は、市況の緩やかな回復および付加価値の高い工事受注の増加により売上高は前期を上回った。この結果、売上高は同9・7%増の19億9700万円、営業利益は同13・2%減の1億3800万円となった。
 
2025年3月期の通期業績予想は、売上高は同2・9%増の740億円、営業利益は同13・3%減の42億5千万円、経常利益は同15・7%減の45億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同17・4%減の38億円を見込む。国内の塗料事業において、構造物、工業用の収益力強化と成長分野への事業育成を行う。