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関西ペイント（毛利訓士社長）は５月11日、２０２３年３月期の連結決算を発表した。
　
売上高は前年同期比21・４％増の５０９０億７千万円、営業利益は同６・６％増の３２０億７７００万円、経常利益は同６・９％増の４０２億１６００万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同５・０％減の２５１億９５００万円であった。年後半から自動車分野の業績が顕著に回復し、各分野への価格転嫁が主な要因となる。なお、第４四半期の期間中における価格転嫁率は１７０％（年間では１３４％）となり、利益に寄与している。
　
セグメント別の状況では、日本は、自動車分野での生産台数が前年を上回り、販売価格の改善に取り組んだことで、売上が前年を上回った。工業、建築、自動車・補修及び防食分野においても、市況が低調に推移したが、販売価格の改善にも取り組み、売上は前年を上回った。船舶分野では、市況が回復したこともあり、売上が増加した。これらの結果により、売上高は同10・０％増の１５２５億８００万円、経常利益は同17・３％増の１６８億７７００万円となった。
　
インドでは、建築分野の需要が前年を下回ったが、自動車分野の力強い回復により、売上は前年より増加した。原材料価格高騰の影響は大きいものの、販売価格の改善に継続して取り組んだことから利益も前年を上回った。これらの結果、売上高は同31・３％増の１２７５億４４００万円、経常利益は同49・１％増の１０７億９９００万円となった。
　
欧州においては、トルコでは、自動車分野及び工業分野を中心に販売価格の改善に取り組み、売上は前年を上回った。その他欧州各国においても、工業分野及び建築分野を中心に堅調な需要に支えられた。一方で、利益はトルコにおける超インフレ会計適用の影響などにより、前年を下回った。これらの結果、売上高は同32・９％増の１１２０億７千万円、経常利益は同72・１％減の15億６４００万円となった。
　
アジアは、中国において、自動車生産台数は前年を上回ったものの、主要顧客の需要が伸び悩み、自動車分野での売上は前年を下回った。工業分野では産業機械向け塗料において主要顧客の需要が落ち込み、売上が減少した。これらの結果、中国全体での売上は前年を下回った。また、インドネシア、タイ及びマレーシアにおいては、自動車生産台数の回復を受け、売上は前年を上回り、利益も前年を超えた。これらの結果、売上高は同18・１％増の６８０億７千万円、経常利益は同３・３％増の74億９７００万円となった。
　
アフリカは、南アフリカ地域の売上は伸長、東アフリカ地域においても、建築分野における拡販や販売価格改善の取組みにより売上が伸長。利益は売上の増加に加え、過年度より継続している不採算事業の整理による固定費削減や、一過性の感染症関連保険金の受領などにより前年を上回った。これらの結果、売上高は同15・８％増の４１８億３１００万円、経常利益は同55・０％増の20億９９００万円となった。
　
その他地域では、北米の自動車生産台数が前年を上回り、売上が好調。一方で、利益は持分法投資利益が増加したものの、原材料価格の高騰による影響や前期に一過性の収益を計上したことなどにより前年を下回った。この結果、売上高は同31・６％増の70億４５００万円、経常利益は同21・６％減の13億７７００万円となった。
　
２０２４年３月期の連結業績予想では、売上、各利益ともに過去最高の数値を計画。自動車、工業分野の堅調な動きと、原材料価格の下落でエネルギーコスト等の増加を吸収し、営業利益が大幅増益するとしている。売上高は同８・０％増の５５００億円、営業利益は同30・９％増の４２０億円、経常利益は同11・９％増の４５０億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同１１８・３％増の５５０億円を見込む。