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川田工業、ロボット自動塗装実験棟構築

川田工業(東京、富山・川田忠裕社長)と、川田テクノロジーズ(同)ならびに常盤電機(岐阜・林玄悟社長)の3社は、川田工業富山工場で製作する鋼構造製品の塗装効率と塗装品質の向上を目的とした「ロボット自動塗装ライン」とその実験棟を構築した。まずは2025年度から同社の鋼構造製品である合成床版「SCデッキ」を対象に、塗装作業へのロボット活用の本格化を目指す。  

実験棟のイメージ図



塗装ラインと実験棟の基本設計を川田テクノロジーズ、自動塗装ロボットの製作を川田工業と常盤電機、自動搬送装置の製作を川田テクノロジーズと日立産機システム(東京・竹内康浩社長兼CEO)がそれぞれ担当した。
 
現在、川田工業の富山工場では、熟練の職人が膨大な数の「SCデッキ」に対して吹付け塗装を行っているが、長時間に及ぶ繰り返し作業となることから、職人の安定的な確保や技術の継承が課題になっている。また、塗装作業では環境温度や湿度の変化に左右されず塗装品質を一定に保つ必要があるため、職人には広大な面積をムラなく塗装する技術のみならず、温・湿度の変化に合わせて塗料の調合を微調整するなど、吹付け技術以外にも熟練工ならではの経験値が求められる。
 
こうしたなか、「SCデッキ」の持続的生産を進めるにあたり、熟練工が持つ塗装技術を継承し、塗装品質をより高めていくため、富山工場では塗装工程のインテリジェントな自動化を計画。これを早期に実現するといった背景のもと「ロボット自動塗装ライン」とその実験棟を構築することになった。 
 

自走式「自動塗装ロボット」



本実験棟では、「ロボット自動塗装ライン」により、熟練工と同等の塗装品質を得るための各種テストを行うほか、温・湿度に応じてロボットの塗装条件を自動で最適化するなど、高い塗装品質と生産効率の向上を両立させるための技術を確立する。実際に6月から始まった試験塗装において、満足のいく品質や仕上がりが得られつつあり、9月に入り実製品の塗装にも入ったという。
 
ただし、人が行っている塗装の全てをロボットの自動塗装とするわけではなく、長時間の繰り返し作業となる塗装を対象に、これに適したロボットを導入したものだと言う。また、いくら優秀なロボットであっても高品質な塗装を得るにはスプレーガンの最適な動かし方や塗料の適切な調合割合など、いくつもの試行錯誤を重ねる必要がある。また、上手くいったとしても、より高い性能が求められる。こうした職域に対して、デジタル技術に長けている若い世代を登用し、新たな活躍の場を広げていくことも視野に入れている。
 
川田グループでは、自動化により得た時間を、熟練工から若手への技術伝承にあてるなど、社内教育の面の充実も図り、建設業界が直面する課題にも向き合っていく。