武蔵塗料HD、TBMと資本提携
武蔵塗料ホールディングス(以下、武蔵塗料HD)は、TBM(東京都中央区・山﨑敦義代表取締役 CEO)と資本提携を結んだと、6月21日に発表した。TBMが供給するLIMEX(ライメックス)、CirculeX(サーキュレックス)製品に武蔵塗料HDのバイオ塗料を組み合わせた用途開発を共同で推進していく。両社の協業を通じ、環境配慮素材を使用した付加価値の高い製品提供を目指す。
TBMは、2011年の設立以降、炭酸カルシウムなどの無機物を主原料とする新素材LIMEXの開発・製造・販売を推進してきた。現在国内 6000社以上の企業や自治体で、プラスチックや紙の代替素材としてLIMEXを導入している。また、世界中でニーズが高まる再生材料や循環型社会の実現に向けて、使用済みプラスチックやLIMEXを適切に再生利用するため、再生材料を 50%以上含む素材CirculeXを展開している。
武蔵塗料HDは、LIMEXを原料としたプラスチックの成形品に対し、色や機能性を付加させる。既に雑貨などの展開を進めており、塗料には環境配慮型のバイオ塗料「ECO VITA UREX」などが採用されている。この塗料は、成膜する樹脂の内約25%が植物由来の塗膜となり、木材やひまし油、松ヤニなどの材料が配合されている。同塗料は、2006年に、ノキア社の携帯電話に採用されるなど実績があった。現在は、LIMEXの素材に適合するため、密着性などの改良を加えている。
ECO VITA UREXは、塗料の分類としては溶剤系塗料となる。機能性能を持つ既存の溶剤系塗料と比べ、CO2の排出量を削減できる。また、従来のバイオ塗料では実現できなかったベースコートやUVコート、及びソフトフィールなど多様な機能を有し、塗装仕様は既存の溶剤系と変わらず、塗装設備を変更する必要もない。
武蔵塗料HDは、環境型塗料を戦略上重視しており、植物原料由来の比率を高め、さらには水系のバイオ塗料の開発なども進めていくという。武蔵塗料HD・小澤清弘執行役員は、「将来的には、当社の溶剤塗料の内、バイオ塗料が20%で占めるまでに成長していきたい」と述べる。
今回の提携は、製品の用途開発ということもあり、今後は武蔵塗料HDの販売ネットワークを活用した製品提案も検討される。国内だけではなく、同社が展開する海外拠点を生かし、LIMEXの海外展開への支援も期待されている。なお、武蔵塗料HDは今後インドでの拠点展開も検討しているという。