WEB塗料報知|塗料・塗装、コーティング業界のプラットフォーム

長瀬産業、化学品共同物流コミュニティ

長瀬産業は、第3回「化学品共同物流オフラインコミュニティ」を昨年12月12日午後2時から東京都渋谷区千駄ヶ谷のナガセグローバル人財開発センターで対面並びにWEBのハイブリッドスタイルで開催した。

対面とWEBで約130人が参加


 
まず、矢野経済研究所の田中里奈氏からは「共同物流の最新動向と共同物流の現状/今後の方向性」の解説があった。同所によると、物流市場の規模は金額で約23兆円(2023年度見込)であり、長期的には拡大傾向にあるという。半面、営業用貨物自動車の2030年予測では、輸送量が27億1900万tに対し、ドライバー数は59万人で需給ギャップは7億4600万t、1カ月のうち約11・5日分の荷物が運べない恐れがあると見込んでいる。
 
この課題に対して、積載効率や稼働率の向上を図る共同輸配送(配送=地場・短距離、輸送=幹線・中長距離)による物流の最適化を図る必要性を訴えた。同時に企業間、業種間の協力にはデータ連携による標準化も重要で、現在の最適化が未来の最適化では必ずしもないことも視野に入れる重要性を指摘した。
 
運送企業である高末の後藤尚紀氏は「中継輸送を活用した2024問題対策×中ロット物流デザイン」について説明。中ロット貨物(1~3t)のサービス「タカスエロット便」の特長である料金設定のオーダーメイド、1日50便の輸送能力で残貨ゼロ実現、専用伝票不要を紹介した。
 
ESG関連データの収集・管理・開示支援の総合クラウドソリューションを提供するゼロボードの西川史人氏は「カーボンニュートラルに向けた物流GHG削減ステップ」を解説。サプライチェーン排出量の算出対応や視認性の高いダッシュボードによるGHG排出量の削減管理について話した。
 
最後に、主催者の長瀬産業からは「AI共同物流マッチングサービスによる共同物流推進状況と今後の展開について」を紹介。現在、マッチングサービスの会員企業は70社、共同物流成立見込み案件は73件を数える。輸送ルートは東名阪が多数で、最近では大阪と石川・富山間のサービスで一筆書きルートを構築し、効率化を実現した。「不定期便を定期化」「共同物流化取組みの加速」をキーワードに、2月には中継輸送コミュニティの立ち上げを決定しているとのこと。
 
この後、行われたフリーディスカッションでは、この一筆書きルートの実例である大日精化工業の時宗孝好氏と、日本海急送の吉田剛氏が参加。データを入れてマッチングできる環境の整備が、まだ見ぬ共同化の発見に結び付くことを述べた。
 
長瀬産業の担当者によると、同コミュニティには対面とWEBを合わせて約130人が参加し、コミュニティの盛り上がりを大きく実感したという。今後、物流課題解決の一助を担えるように活動を進めていくという。