【決算】日本ペイントホールディングス 12月期第2四半期、売上増も利益減少
日本ペイントホールディングス(若月雄一郎代表執行役共同社長、ウィー・シューキム代表執行役共同社長)は8月10日、2022年12月期第2四半期連結決算を発表した。
2022年1月20日にクロージングした、欧州塗料メーカーCromology Holding SAS(以下、Cromology)の子会社化、2022年5月31日にクロージングした欧州塗料メーカーDP JUB delniska druzba pooblascenka d.d.(以下、JUB)の子会社化や円安の影響、加えて主力事業である中国の汎用塗料が継続的な製品値上げ効果などもあり好調に推移した結果、売上収益は前年同期比29・1%増の6220億4900万円となった。
営業利益は、各地で原材料価格が上昇したこと、中国における貸倒引当金を追加計上したことなどにより、同9・7%減の442億200万円、税引前四半期利益は同13・2%減の419億9800万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同14・2%減の285億5700万円となった。
セグメント別の業績では、日本は、自動車用塗料が半導体供給不足等の影響を受けたことで、自動車生産台数が前年同期を下回り、売上収益は前年同期を下回った。一方、工業用塗料は新設住宅着工戸数など市況が堅調に推移し、汎用塗料は市況の改善が進み、いずれも売上収益は前年同期を上回った。この結果、売上収益は同1・0%増の874億6600万円、営業利益は、原材料価格の上昇などにより、同64・1%減の25億3300万円となった。
Nipseaでは、 自動車用塗料は、中国において半導体不足や部品供給の停滞、新型コロナウイルス感染症に伴う都市封鎖等を背景に自動車生産台数が前年同期を下回るものの、為替影響等により売上収益は前年同期を上回った。汎用塗料は、中国において都市封鎖等の影響を受けるも、既存住宅向け内装需要が引き続き堅調に推移し、中国、マレーシア、インドネシア、トルコ等の主要市場において積極的な製品値上げの結果、売上収益は前年同期を上回った。この結果、売上収益は同24・7%増の3400億8300万円、営業利益は、原材料価格の上昇などにより同39・7%減の223億8200万円となった。
DuluxGroupは、2022年1月からのCromologyの損益、2022年6月からのJUBの損益を同社グループの連結業績に反映した。汎用塗料は、オセアニアおよび欧州において製品値上げが奏功したことから、売上収益は前年同期を上回った。塗料周辺事業は、オセアニアにおいて各ブランドの製品値上げが奏功したことに加え、欧州において、ETICS(断熱材)の販売が好調だったことから、売上収益は堅調に推移した。この結果、売上収益は同74・8%増の1471億1500万円、営業利益は同46・2%増の160億9500万円となった。
米州は、自動車用塗料は中核地域であるアメリカにおいて半導体供給不足などの影響は継続するも、旺盛な需要を背景に自動車生産台数が前年同期を上回り、売上収益は前年同期を上回った。汎用塗料も底堅い住宅需要や好天が影響し、売上収益は前年同期を上回った。この結果、売上収益は同23・3%増の473億8300万円、営業利益は同85・0%増の50億6500万円となった。
なお、2022年12月期通期の連結業績予想を、売上収益は前回発表予想より10・0%増の1兆3200億円、営業利益は同8・7%減の1050億円、税引前利益は同11・5%減の1千億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同11・1%減の720億円と修正した。
今期決算では、トルコで3年間の累積インフレ率が100%を超えたことから、超インフレ会計を適用した。これはIFRS(国際財務報告基準)の要求事項の一つに、超インフレ経済国の通貨を機能通貨とする企業の財務諸表について、物価指数の変動を反映するように修正再表示することが要求されている。このことから、日本ペイントホールディングスとして初めて適用となった。超インフレ会計は第2四半期累計期間からの適用となる。影響については上期で売上収益30億円増、営業利益33億円減、通期では売上収益50億円増、営業利益50億円減を想定している。
日本国内の事業では、6月17日に発表した希望退職制度「ネクストキャリアプラン」について説明。国内事業の成長力を確保するため、あらゆる角度から事業を見直し、効率性が高く、無駄のない組織を志向するために導入した。 一定の年齢層を対象に年内の実施を予定しているが、現時点で募集人数の想定はしておらず、業績への影響は未定。第3四半期決算発表の時点で業績への影響を説明できるものと見込んでいる。