日ぺHD、新技術研究棟を披露
日本ペイントホールディングスは、メディア向けに新技術研究棟の披露と製品説明会を5月30日午後1時から大阪市北区大淀北の同社本社で開催した。
今回、披露された同社グループの大阪事業所技術研究棟は、大阪府寝屋川市にあった寝屋川事業所の後継として位置付けられているもので、商品開発部門を営業・物流拠点と隣接させることで現場に近い技術活動を活発にすることを目的としている。
総工費約23億円をかけた5階建て・高さ約23mの建物は総床面積約5300㎡、収容人員(居室)約120人の規模で、日本ペイント、日本ペイント・インダストリアルコーティングス、日本ペイント・サーフケミカルズ、日本ペイントマリンの4社が入居している。
実験室のフロア構成は、1階がクリーンルーム、自動車補修用塗装ブース、試作室、2階がUV実験室、PD実験室、ED実験室、工業用塗装室、3階が環境機器室(促進試験機)、分析室、表面処理実験室、4階がマリン(船舶)実験室、工業用実験室、5階が汎用実験室、塗装室、樹脂合成室、そして屋上は都市型天然暴露場となっている。
エレベーターホール壁の一面は、日本ペイントの内装用水性特殊多彩意匠仕上材「ニッペパーフェクトインテリアECО」が使用され、各階ごとに異なる色彩と柄とされている。他面の壁はビニルクロス張りだが、その表面には室内用高拡散反射塗料「アカルクス」が工場塗装されており、明るさアップと照明消費電力の削減を図っている。こうしたこだわりの仕上げには、内装のリノベーション需要に塗料の採用を増やしていくためという意図が込められているとのことだ。
技術研究棟披露の後、製品説明会が行われた。まず、日本ペイントの相田新吾社長が「新しい事業所の完成で、技術と営業の導線が改良され、近くで交流できるようになり良い環境になりました。当社では汎用塗料の充実を図り、最近は60品目を市場に投入しております。今後とも積極的に進めたい」とあいさつ。この後、遮熱塗料が取り上げられ、その取り巻く市場環境、遮熱のメカニズム、塗膜の低汚染化や、施工事例の遮熱効果データの開設が行われた。
続いて、日本ペイントマリンの黒田芳明社長があいさつし、「船舶塗料は成長分野ですが、関連のメーカーは減少しています。これは1年ごとの需要のアップダウンが大きいこと、国際海運が1年間に排出するCО2量がドイツ一国のそれに匹敵し、環境負荷低減要求が厳しく、会社の体力を必要とするためです。当社も生き残りをかけた戦略を展開したい」と述べた。
同社では5月に開催されたバリシップで公開された新製品「AQUATERRAS(アクアテラス)」を紹介。新規加水分解防汚技術であるHydrophiXテクノロジーで開発の防汚剤フリー船底防汚塗料である。塗膜の親水・疎水ミクロドメイン構造と加水分解反応により、船体の摩擦抵抗を低減し、海洋生物が付着しにくい特性を持つ。従来の防汚塗料とは異なり、防汚剤を全く含まず海洋環境に配慮した設計となっており、また安定したポリシングで長期防汚性と優れた燃費効果を発揮するという。