【決算】メーカー概況、引き続き建築分野好調
上場する主要塗料関連メーカーの2025年3月期第3四半期決算が発表された(集計12社)。企業収益や雇用・所得環境に改善の動きがみられ、緩やかな回復傾向であるものの、消費者物価の上昇や米国の政策動向、中東地域をめぐる情勢、中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスク等から、先行きは依然として不透明な状況で推移した。
建築分野では、建築・構築物用塗料の販売が堅調に推移するとともに、集合住宅大規模改修工事等の工事関連が好調。ストック物件が拡大している改修市場を中心に、ニーズにマッチした製品の普及・提案が功を奏した。また、高付加価値製品や工場屋根向けで水性関連製品等が増収に寄与した。
工業分野では、一部市況の回復や過年度より取り組んでいた価格是正が緩やかに進展した。また、粉体塗料分野において電気機器向け塗料の出荷が好調だったことや、電着塗料分野において建材向け塗料の出荷が好調であり、プラント向け重防食塗料も堅調に推移したが、建材向けの需要が軟化して推移したこともあり、売上高は横這いに留まった。
自動車向け塗料は、一部顧客の生産停止の影響等もあり低調に推移。また、中国をはじめとしたアジア地域におけるEV市場拡大を背景とした販売低迷の影響等からも、売上高減少が目立った。
家庭用分野においては、新規ホームセンターへの企画提案活動を継続して行ったこと等による販路拡大が見られた。
船舶分野では、新造船および修繕船向けの需要が堅調に推移するなか、製造コストに見合った販売価格の適正化を推進したこと等により、売上高が増加傾向であった。
集計した12社のうち、売上・利益ともに前年度と比較して増加した企業は8社であった。なお、今期の発表において、業績予想を中国塗料および日本特殊塗料は上方修正、関西ペイントは下方修正した。