WEB塗料報知|塗料・塗装、コーティング業界のプラットフォーム

オークマ工塗、全国古家再生推進協議会を設立

オークマ工塗(東大阪市・大熊重之社長)は、平成4年(1992年)に設立した工業塗装の会社である。部品塗装の下請けが多いため景気などの影響を受けやすく、リスクが高い。そうした状況から脱却するため大熊社長は、「チェンジ&チャレンジ」を合言葉に、下請ではない全国展開できる新しい事業のアイディアを模索し、挑戦を続けてきた。
 
日本は空き家・古家が増える一方で深刻な社会問題となっている。総務省は住宅・土地統計調査を発表しているが、平成30年の空き家は848万9千戸で、空き家率も13.6%を占め、年々増え続けている。
 
大熊社長は、不動産担当者から「家賃が安い戸建住宅は借り手にとって魅力があり、マンションやアパートに比べて競争力がある」という話を聞いた。空き家・古家にリフォームやリノベーションを行って付加価値を付ければ入居者が決まりやすいのではないか、さらに低コストであればオーナー(家主)にとってもメリットがあると考え、空き家・古家再生事業に参入を決意。2016年、全国古家再生推進協議会を立ち上げ理事長に就任した。
 
協議会の特長は、「老後年金問題」と「空き家・古家問題」の両方を解決する社会問題解決コミュニティーである。空き家・古家のオーナーは、家賃収入によって安定した老後を送ることができ、空き家・古家問題の解決に貢献できる仕組みだ。
 
同協議会では、空き家の中から賃貸需要が見込める物件を探し出し、個人投資家を対象とした『空き家・古家物件見学ツアー』を開催し、好評を得ている。このツアーの対象者は協議会が認定する制度によって認定された投資家である「空き家・古家再生投資プランナー」と、協議会の認定資格を持ち、空き家・古家再生投資についてのプロフェッショナルと認められた専門家である「古家再生士」で構成される。ツアーでは主に、「空き家・古家再生投資プランナー」が説明を受ける側、「古家再生士」が説明をする側になる。

国土交通省の不動産アワード優秀賞に選出(写真中央が大熊理事長)



協議会がこれまでに再生させた空き家・古家は1800軒以上にのぼる。これまでの実績では、国土交通省が今年度より創設した「地域価値を共創する不動産アワード(不動産・建設経済局長賞)」の担い手育成部門優秀賞に選出され、表彰された。
 
さらに、テレビ東京で6月23日午後10時に放映された「ガイアの夜明け」では「空き家活用の新たな動き」を特集。事例の一つとして、全国古家再生推進協議会の「空き家・古家物件見学ツアー」が紹介された。番組では、東京や名古屋から集まった空き家・古家の個人投資家が、一日がかりで富山県高岡市の築50年の家や、その他数件の物件を見学した。
 
空き家・古家投資とは、個人投資家が空き家・古家を投資物件として家賃収入で収益を得ることである。協議会はサポートとして現地調査同行から、収益モデルの提案、リフォーム・リノベーション時には、空家・古家物件活用専門業者・専門家の紹介、入居者・家賃回収・管理のアドバイスまで行っている。
 
現在の会員数は、6月現在で空き家・古家投資家は約1万1千人、古家再生士は25人である。今後の協議会の目標は、2030年までに全国の都道府県に、空き家・古家投資家を3万人、古家再生士を100人養成。目標再生戸数は1万棟を目指している。
 
現在活躍中の古家再生士によると、「空家の所有者が売れないと思っていた空家が売れたと喜ばれた」、「投資プランナーは高利回りが期待でき、入居者は相場より低い家賃で快適な家に住めたと喜ばれている」と高い評価を受けているとのことである。