オートカラーアウォード、色開発、顧客との対話鮮明
日本流行色協会は、優れたモビリティのカラーデザインを顕彰する制度「オートカラーアウォード2023」を昨年12月13、14日に開催し、グランプリに本田技術研究所の「N‐BOX」を選んだ。また、特別賞にはヤマハ発動機の「YZF‐R7」に決めた。本紙では栄冠に輝いた2車種のほか、自動車外装のカラートレンドを感じた車種を紹介する。
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本田技術研究所、顧客行動から生まれた色
N‐BOXのエクステリア色は、オータムイエロー・パール。色の開発はユーザーターゲットとなる「ママ層」の行動・傾向を観察することから始まった。そこで得られた考察が、子育てや仕事で忙しながらも夢を持ち両方のタスクを「リズミカルに軽快にこなすママ像」だ。そのターゲット層にリーチする色にイエロー系を選択。 黄色の華やかさはそのままにギラつきを抑え、より日常にやさしく寄り添いながらもエネルギーを感じるイエローが生まれた。光輝材は通常より大きいパールを使用。パールとアルミフレークで優しいハイライトを表現した。また、ミラーやホイールにホワイトのアクセントを施し、イエローとのコントラストでさり気なくオシャレなスタイルを演出している。審査員からは、「エクステリアのイエローは車のカラーデザインでは難しい色相で、少しずれるとアウトドアイメージが強く、汚く見えてしまう。ちょうど良いイエローを実現した」と、評価された。
ヤマハ発動機、ファンと共創するカラー
同じ色相を重ねるデザインは難しいとされていた。しかし、YZF‐R7の「ヤマハファクトリーレーシングブルー」は、見事にツートンデザインを成功させた。ディープブルーの新色と明るめのブルーは太陽光を浴びるとより親和性が高まる。専用色のディープブルーは、無機青顔料、干渉ブルーパール、青着色メタリックの顔料による塗色。ヤマハ史上最高彩度の専用ブルーが初めて市販車にもデザインされるオプションを展開した。なお同色は、排気量689cc「YZF‐R7」のフェアリングキット(限定50台)のデザイン色。ファンと直接の対話から「レース会場にも映えるひと眼でわかるカラーリングを」との声を反映している。
トヨタ自動車、ルーフ塗装はCO2削減
ランドクルーザーは、1951年の誕生以来70数年にわたり「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」として、世界中の道を創ってきた。250モデルは同車種の中核モデルとしてランクルならではの「原点回帰」を体現したデザインとなった。エントリーした一つのエクステリアカラーのうち「サンド&ライトグレー」(専用色)のルーフ部分は1Cの焼付塗装としている。通常2Cのところを工程短縮することでCO2排出量を20%削減に成功させている。歴史が長く世界中で愛されるランクルは、各国固有のランクル像というものがあり、各国の担当とは塗板の配送や1分の1に塗装した写真を送り、コミュニュケーションを図ったという。
マツダ、「クルマが好き」を色で
パンデミックで閉そく感が増していく中で 始まったプロジェクト。担当デザイナーによれば「お客様が求めるマツダの魅力を見つめ、私たち自身もポジティブな気持ちになれるようなボディーカラーを目指した」としたのが、MAZDA2の「エアストリームブルーメタリック」。エントリー車である同車種からクルマの楽しさを伝えたいとの思いは、アクセントカラーのオレンジから汲み取れる。オレンジはマツダロードスターの特別色を使用。フレンドリー な CMFデザインの中にもマツダのDNAをエントリー車に盛り込んだ。ルーキードライブからファン育成。色がその役割を担う。