Japan Mobility Show、自動車軸に社会変革
Japan Mobility Showが10月15日からの4日間、千葉県稲毛市幕張の幕張メッセで開催した。約70年続いてきた「東京モーターショー」が昨年新たに同展示会名に生まれ変わり、今年は、事業会社とスタートアップが手を組んだビジネスを創発するビジネスイベントとして開催された。
今回、出展する自動車メーカー(日本自動車工業会14社)は、テーマに「All roads lead to the future.~それぞれの道から、カーボンニュートラルな未来へ。」を掲げ、マルチパスウェイによるカーボンニュートラル(CN)を探った。また、自動車を軸にCN達成に向けた開発は、現在表面化する社会課題の解決手段を示した。なお、同会期中での成立マッチング案件は848件にも上った。
日本自動車工業会の14社が一堂に会した展示のメインは、多様なエネルギーを選択肢とするCN社会の実現に向けた研究・開発である。電気自動車、カーボンニュートラル燃料、プラグインハイブリッド、水素燃料電池/水素燃料の4つのカテゴリーで最新の取組みが発表された。
なかでもマツダは「MAZDA CX-80 Biofuel車」を展示。現在、既存車で次世代バイオ燃料の対応に向けた実証実験を行っている。10月10日に発売した3列SUVであるCX‐80は、ディーゼルエンジンを搭載しているが、同車種でカーボンニュートラル燃料の走行性能の開発を行っている。同燃料の普及は、既存の内燃機関技術やインフラを活かすことができる。CN燃料は微細藻類由来であり、次世代バイオ燃料の原料やエネルギーの地産地消化にも期待されている。
CN社会の実現のため、資源循環型の経済システム構築も重要となる。トヨタ自動車が展示したのは、使用済みの電動車の電池を回収し、大規模蓄電システムにリユースする「スイープ蓄電システム」(定置用電池)だ。同技術に組み込まれているスイープ技術とは、劣化度が異なる電気自動車用の電池を混合使用する技術である。これにより、接続先を選ばず充放電可能となり、再生可能エネルギーの普及が期待されている。BEV(Battery Electric Vehicle)が普及するシナリオを見据え、電池のリユースをシステム化する。
トラック・ドライバーの不足という社会課題に、その対応を提案したのがいすゞ自動車である。同社が製造する「ELFmioEV」は、物流問題、ドライバー不足への解決提案としてAT限定普通免許で運転できるトラックである。多様なドライバーに対応するため、ドライビングポジションを最適化した。老若男女、大柄、小柄のドライバーに対応する設計になっている。
また、トラックの汎用化にも着手。主要コンポーネントをモジュール化し、動力源(EV、ディーゼル)や架装物を共通化している。EVとディーゼル車の操作性を同じにしたことで、ドライバーがどちらの車両に割り当てられても戸惑うことなく運転できるよう、設計から見直したとのことだ。