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インタビュー、タナベ塗装 田邉哲郎社長

自動車関連の発注先とタッグを組み、コストダウン提案

 さて、田邉氏が社長であるタナベ塗装の状況は、どうであろうか。自動車関連が事業の主体である同社は、8月が決算期であるが、今期は前期より減少になりそうとのこと。熊本地震や愛知県内での自動車関連工場の災害の影響が大きいという。自動車だけでなく、建設機械や配電盤なども若干手掛けているが、仕事に波がある。汎用品はメーカーが自社で塗装してしまうので、特殊品や臨時的な製品を引き受けている。ただ、自動車ほど需要が一定量かつ定期的にある分野が見当たらないのが現状である。

 そこで、塗装がしやすいよう部品の設計段階から考慮し、同時にコストダウンに結びつけることを提案。部品がきてから、塗装の難易度が判明し、品質確保やコストダウンに苦慮するなら、自動車関連の発注先とタッグを組み、さらにトヨタ自動車も参加しての共同開発を行えば、お互いにメリットがあるとの構想だ。
 さらに、どこでもやれるような汎用品は価格競争に陥るため、機能性塗料を用いた特徴のある製品を手掛けることも考えている。独自のノウハウを持つ中小塗料メーカーと組んで製品開発を行うという構想も持つ。これから伸びが期待できるところとして、調色が難しいカラークリヤー、樹脂部品の増加に伴う傷付き防止のためのUVハードコート、医療品向けの抗菌塗装などを挙げている。

 人材については、同社では派遣社員として入社した人の中から4人が正社員になっている。社員数は足りているが、現場業務と兼任のため管理能力のある人の育成が目下の課題となっている。事業継承では、田邉氏は2代目。後継者には塗装だけを考えてなくてもよい、塗装を原資に他のことを手掛けることも視野に入れてとアドバイスしているそうである。

『塗料報知』2016年7月27日号(4147号)に掲載

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