中国塗料、長尺平板抵抗計測装置を開発
中国塗料は海上・港湾・航空技術研究所及び海上技術安全研究所との共同研究により、長さ14mの長尺平板を用いて摩擦抵抗を高精度に計測する世界初となる「長尺平板高精度抵抗計測装置」を開発した。
同装置の開発により船体表面の粗度形状特性と摩擦抵抗の関係解明が大きく促進することが見込まれ、摩擦抵抗の少ない塗料の開発が進むものと期待できる。同研究は国土交通省の「次世代海洋環境関連技術開発支援事業」及び日本海事協会との共同研究テーマ(「船体塗膜粗度低減と粗度パラメーターから実船摩擦抵抗変化率を推定する方法の研究」)として実施したもの。
船舶の抵抗のうち、造波抵抗、粘性圧力抵抗は船型の改良に伴いその比率が小さくなり、摩擦抵抗の割合が大きくなっており、船舶の省エネ化を図るには摩擦抵抗の低減が課題だ。摩擦抵抗の低減手段として低摩擦抵抗塗料の開発と実用化が進んでいるものの、摩擦抵抗を精度よく計測する装置がなかった。
開発した計測装置は繰り返し試験のばらつき(分布)が0・1%以下というきわめて精度が高い装置である。この精度は長尺平板と二重ブランコとフロートを組み合わせた曳航装置による世界初の方法により達成された。14m長尺平板(全長14・43m、厚み1㎝、喫水0・81m)は薄くて長いため、波を発生し難く摩擦抵抗を精度よく評価することが可能となった。同計測装置を用いた試験は、昨年12月2日の海上技術安全研究所100周年記念講演会の施設見学会で披露された。
なお、同社は船舶の省エネ化及びCO2排出抑制など環境保護の要求に応えるために、超平滑防食塗料「バンノーZシリーズ」、超平滑防汚塗料「外航船用:SEAFLO NEO Zシリーズ/内航船用:シープレミアシリーズ」などの超平滑船体塗装システムを開発し実用化。
これらの塗装システムの効果を正確に判定するため、同計測装置の活用と併せて、船体粗度を可視化し摩擦抵抗を数値化する「現場用三次元ポータブル船体粗度計」及び「(新)FIR理論」による船体抵抗予測技術の開発も継続している。今春発表予定の「銅フリーハイグレード塗料」の開発にも生かされている。