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SL「貴婦人」、クラファンで再塗装へ

街の中にあり、市民からはアイコンとして親しまれている、いろいろな展示物がある。中には時間の経過で傷みが生じている例もあるが、これをクラウドファンディングで美しく甦らせる動きがある。お色直しとして塗装が関わることも多く、寄付によって誰もが間接的に塗替えを体験できることになる。

C57型26号機の現状。退色や錆の発生が見られる

 
著名な埼玉古墳群がある埼玉県行田市。市民憩いの場である水城公園近くの本丸児童公園には、蒸気機関車C57型26号機が展示されている。同機は、旅客列車用として1938年に製造、おもに東海道本線や東北本線で活躍し298万5783㎞(地球をおよそ74周半)を走り、1971年12月に引退した。翌年には高崎線行田駅開業5周年を記念して、当時の国鉄高崎鉄道管理局の協力のもと、行田市で保存された。
 
C57型は、その美しい姿から「貴婦人」のニックネームで呼ばれ、保存に当たっては、地元の国鉄OBによる定期清掃の他、市でも過去4回塗装を実施してきた。しかし、最後の塗装(2004年)から20年近くが経過して、錆の発生など経年劣化による塗装の剥離が著しく、抜本的な対策が必要な状態になっている。

プロジェクト完了後のイメージ

 
そこで、市では保存してきたC57型26号機を次世代へ引き継ぐとともに、市内外からの来訪者に楽しんでもらえるよう、「貴婦人」に相応しくお色直しを実施する再塗装プロジェクトを立ち上げ。同時に、「貴婦人」を間近で感じられるように本丸児童公園も改修し、新たな交流の場として生まれ変わらせる計画だ。
 
プロジェクトの財源確保には、クラウドファンディング型ふるさと納税を活用した寄付を9月から募集開始した。寄付した人には特典として、お色直し後のC57型26号機のポストカードを贈呈。さらに、希望者には「メイクアップ体験(塗装体験)」への参加が用意されている。
 
来年1月に塗り替えを実施。2月に完成予定で、完成後はお披露目会などのイベント開催を予定している。市では、子供たちの笑い声や笑顔があふれる空間を創出できるようプロジェクトを進めていくとのこと。目標金額は400万円で、募集期間は12月2日まである。