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木塗研、第29回木材塗装基礎講座を開催

木材塗装研究会(戸山顕司会長)は、東京都産業技術研究センター本部で6月15日、午前9時半より「第29回木材塗装基礎講座」を開いた。受講者は家具製造、家具輸入業者、塗装事業者、塗料メーカー等の92人。基礎講座では、「木材の性質」、「木材用塗料の種類」、「安全対策」、実演を含めた「木材の着色方法」、「スプレー塗装」、「塗装の欠陥と対策」等、木材塗装を網羅するプログラムであった。

最初に登壇した森林研究所の片岡厚氏は「塗装から見た木材の性質~良い塗装のために素材のことを知ろう~」をテーマに講演を行い、理想の木材塗装を実現するには、木材の性質を知ることが重要と説明。針葉樹材と広葉樹材の違いを説明し、マツ類などのように樹脂道(軸方向細胞間道)を持つものは、ヤニ抜き、ヤニ止めなどの処置を行わないと塗料の硬化障害やヤニの滲み出しを起こすなど、木材のミクロの細胞の画像を用いて、説明した。

さらに、広葉樹には導管があり、配列により環孔材、散孔材、放射孔材に分類される。その道管をどのように見せるかを意識し塗装する必要があると話した。

基礎講座プログラムの中で、初めての試みとして塗料販売店である谷津商店の谷津徹氏、カネヒロの矢島浩之氏が「現場で必要な安全対策」を講演。引火の危険と有機溶剤中毒の予防をケーススタディ形式で講義を行った。事故例の塗料撹拌機からの火災などを紹介し、火災件数の発生割合は60%が人的要因と説明。安全対策にはコストがかかるが、会社の責任となるので、対応した方が最終的にコストはかからないと説き、『危機管理をするためには経験を積む』のが良いが、経験ができないので『知識をつける』重要性を話した。

実演講義では「着色剤の種類と着色方法」をキャピタルペイントの長澤良一氏が担当。着色剤の選定ポイント等の講義後、水性目止め着色剤および水性ウレタン塗料を使用し、受講者から一人選び塗装実演を行った。

参加した輸入家具を扱う受講者は「白木塗装の方法のヒントを得るため参加した。木材の基礎から塗装まで学べて有益な講座だった」と感想を話した。