ピーアイエー、ローラー新規格を発表
ピーアイエーは2月4日午前11時から大阪市北区天満宮の帝国ホテル大阪で、報道向けの製品説明会を開いた。4月1日より正式発売となる新規格の「ジャンボローラー」について、開発の背景や製品特徴を発表した。説明会の冒頭、辻信一郎代表取締役社長があいさつに立ち「4月1日から正式発売となるジャンボローラーは、既に1月1日にはサンプルを入れている。昨年の10月に一部のお客様にお願いして使用してもらい、アドバイスを受け改良してきた。日本市場では、はっきりした統計はないが、約9割がスモールローラーと言われている。しかし、スモールはどうしても片減りという現象が発生し、構造上の理由から改良することができない。今回開発したジャンボは、スモールの欠点を補い、片減りしにくい特徴を持つ。また、エコの観点からも樹脂量を削減した。この新製品をお客様に届け、業界発展のために努力していきたい」と述べた。
発表したジャンボローラーは、内径18・6㎜、長さ6・5インチのこれまで日本市場にない新規格製品となる。ローラーは、内径が製品規格では重要視されるが、一般的にビッグローラーが内径23㎜、スモールが内径14㎜となるため、内径で言えばジャンボは、ビッグとスモールの間の製品規格となる。辻社長の挨拶でもあったように、日本市場ではスモールのシェアが圧倒的に高い。一方、米国市場でのシェアは内径38㎜のレギュラーローラーが9割、残り1割がスモールとなる。
その米国で、4~5年前からビッグの規格製品が登場。同社は米国市場を毎年モニタリングし「ここ数年で急激に伸びている」(田中利克開発担当)と、スモールからジャンボへ進む傾向にあると言う。米国ではWOOSTER社が推進しており、シャーウィン・ウィリアムズ社に属すPURUDY社やPPGも製品ラインアップを持つ。しかし、各社内径に違いがあるなど、互換性がない。
こうした変化するローラー事情に目をつけたピーアイエーでは、業界に先んじて、日本国内向けに内径18・6㎜という「ジャンボローラー」の新規格で勝負する。開発コンセプトには「よりシンプルのローラーを目指し、エコでバランスの良い価格で付加価値を打ち出す」として、製品開発を進めた。そして誕生した同製品は、スモールと比較して価格を抑え、片減りを無くし、塗装時のガタつきがない。膜厚を均一にすることができるため塗膜保証の観点からも有利だと言う。さらに、エコという観点では、ローラー1本あたり6gの使用量が減り、フレーム1本でローラー50本の使用を想定した計算では、ストロー約450本分の環境負荷軽減となる。
既にサンプルを使用したユーザーからは「膜厚が均一で、ローラー運行が楽になる」と好評のようだ。塗料販売店やホームセンターに製品ディスプレイの提案などを行い、ジャンボローラー用のカタログやQRコードの販売POPなども準備し、新規格製品の浸透に動き出している。
説明会の最後には、伊澤慶一取締役が「(新しい規格製品のため)お客様に製品メリットをしっかり届け、既存製品から徐々に切り替わっていくのが理想」と述べ、今後も「ローラーへの思いでは世界中には負けない気持ちで開発していく」と話した。
ローラーをはじめとする関連資材は、価格競争が激化する中で成熟産業との見方もある。だが、同社は塗装の必須ツールであるローラー性能を常に高め、付加価値を提供し続ける。