高耐久木材保護塗料、 半年経過後も美観保持
大成建設は、大成ロテック、フェクトと共同で開発した高耐久木材保護塗料「T‐WOOD COAT」を2021年9月に建物外装に初適用し、塗装から半年経過後も、施工当初の状態で意匠性と地域産木材本来の美観を保持していることを確認した。
「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(2020年)」の策定などにより、脱炭素社会の実現に向け、成長過程で大気中の二酸化炭素を吸収して炭素として貯蔵する木材の利用が積極的に進められている。特に建物に用いる木質材料は木の風合いの良さから意匠的にも注目され、内外装への利用が多く見込まれている。このうち建物の外装材として木材を使用する場合、紫外線による劣化を抑制するため、これまで木材保護塗料を使用しているが、塗料の耐久性などが課題となっていた。
そこで3社は、耐久性が高く木材本来の風合いを生かし、美観の長期的な保護を可能とする木材保護塗料「T‐WOOD COAT」を2021年に開発。東京エレクトロン宮城の本社工場敷地内に新設した「宮城技術革新センター」に構築した大屋根軒天の外装木材(550㎡)に初適用した。
同製品の施工にあたっては特殊な器具などを使用せず、従来の木材保護塗料と同様のローラー塗りと刷毛塗りで、ほぼ同等の4人で4日かけて施工。夏期は1~2時間程度、冬期は5~6時間程度と乾燥時間が短いため、当日中の重ね塗りが可能で、塗料の乾燥を左右する天候条件の影響を軽減できた。
建物竣工半年後の状況と効果については、塗料はクリヤ色を適用して、地域産杉材(南三陸杉)の色味や木目の美観性をそのまま生かす仕様となっており、半年経過後も施工当初の状態で意匠性を保持している。また屋外暴露試験の結果、未塗装の外装材と比べ、同製品を塗装した場合、半年経過後も竣工直後の美観を保持しており、優れた耐久性を示した。
今後3社は、同製品を高耐久な外装木材保護塗料として、木材を使用する建物の新築・リニューアルに幅広く展開し、脱炭素社会の実現に向けた木材利用の促進に貢献していくとしている。