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安藤ハザマと極東産業、放射化抑制の塗料材開発

安藤ハザマ(東京都港区、福富正人社長)と極東産業(東京都千代田区、中村俊介社長)は共同で、低エネルギー中性子による放射化を抑制する塗料材を開発したと、11月2日発表した。

放射化とは、中性子によりコンクリートや金属内の元素の一部が放射性となる物理現象であり、中性子が発生する研究施設や医療施設ではその施設内の人への影響やコンクリート等が放射化することによる放射性廃棄物の増加が懸念されている。従来は、ポリエチレンとホウ酸を組み合わせた板状の樹脂材料や、研磨剤などに用いられている炭化ホウ素を混入した板状の樹脂材料などを利用して、平面の壁に対する放射化抑制対策が実施されていた。

放射化を抑制する塗料材

今回の開発品は人への影響や放射性廃棄物の増加の主因となる低エネルギー中性子による放射化の抑制を目的とした最大約30mmの厚塗りが可能な塗料材である。

10mm厚に塗布した例

この塗料材はコンクリートや金属、ポリエチレン等の樹脂への塗布が可能で、平面だけでなく曲面などの複雑形状部にも直接塗布することができる。これにより、従来の板状の材料では必要であった下地材が不要となり、またコンクリート壁等の平面だけでなく、中性子の発生源となる複雑な形状を持つ装置類にも塗布することができる。また、塗料材に含まれる水素成分により中性子を減速させ、ホウ素化合物が中性子を吸収することにより、放射化を抑制する。


コンクリートの放射化抑制性能試験では、本塗料材をコンクリートに10mm厚塗布した場合、コンクリートの放射化量は、塗布していない場合に比べて従来品と同等の約1/25に低減される事が確認された。

塗料材の放射化抑制性能試験結果


中性子はその有用性から、がん治療や高分子材料の構造解析 、水素吸蔵合金 の研究等に用いられる。安藤ハザマは、中性子を発生する加速器を用いたBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)施設やPET(ポジトロン断層法)施設、粒子線治療(粒子線治療)施設等の医療施設に多く携っている。また、極東産業は、放射線に強い素材や遮へいするための材料開発に取り組んでいる。

がん患者の増加に伴い、今後、同様の施設の建設はさらに増加することが予想され、中性子を利用する高分子材料の構造解析や燃料電池等の分析・研究施設への適用も今後期待される。これらの分野で塗料材の導入を積極的に提案していく構えだ。
リリース=http://www.ad-hzm.co.jp/info/2018/pre/20181102.html