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アネスト岩田、プラズマ式VOC処理装置

アネスト岩田は3月3日、東京科学大学と共同研究を行い、常温大気圧プラズマを用いたVOC処理装置の実証実験を開始したと発表した。本装置は従来の燃焼法や吸着法と異なり、プラズマの力を用いることで、エネルギーの無駄が少ないVOCの分解を実現する。

VOC処理装置

 
従来のVOC処理技術の主流なものに燃焼法と吸着法がある。燃焼法はVOCを含んだガス中にバーナを設置し、加熱することで酸化させる方法である。VOCの種類を選ばず、高い分解率を得ることができるが、1000ppmを下回るような低濃度の場合、補助燃料を投入する必要がある。また、常に高温を保たなければならないため、排気されるVOC濃度の変動が大きく失火の可能性がある場合も補助燃料の投入が必要となる。
 
吸着法は排気ガスを活性炭やゼオライトを含んだフィルターに通すことでVOCを吸着する方法である。燃料が不要であり、低濃度でも比較的効率よくVOCを回収することができるが、吸着量には限界があり、メンテナンスや吸着材の再生コストがかかる。また、VOCを吸着材に効率よく接触させるため、フィルターの目を細かくする必要があり、塗料ミストや粉塵などが多いとすぐに詰まってしまい、再生利用もできなくなってしまう。
 
これに対し、プラズマによるVOC処理は、従来の燃焼法と比べて熱として捨てられるエネルギーが小さく済む。また、処理空間を高温にする必要が無いので装置のON/OFF切り替えも容易に実現でき、必要な時だけ処理を行うといった運用が可能。さらに、吸着法のように吸着材の再生コストがかかることもなく、フィルターの目詰まりを気にする必要もない。
 
塗装設備において空調は、品質向上のために必要不可欠だが、新鮮な外気を空調して取り入れる全外気方式が主流であり、消費電力が大きくなってしまう。そこで同社では、塗装ブース内の無人化を前提とした循環システムを提案し販売してきた。しかしながら循環することでVOC濃度は高くなっていくため、人が入って作業できないのはもちろんのこと、排気はより臭気の強いものになってしまうという課題があった。プラズマ処理装置はこの課題を解決できる可能性を持っており、塗装設備の安全性を高め、環境負荷を低減できると見込まれている。同社では排気量5?/min程度の小型設備で実証を開始し、段階的な大型化を計画している。
 
問合せは同社コーティングシステム部(Eメール:coating_system_contact_001@anest-iwata-group.com)まで。