暑さ対策に厳選!遮熱・断熱塗料12選【PART1】
近年、SDGsや地球温暖化対策など環境問題への対策に遮熱・断熱塗料や関連資材が貢献する。工場や倉庫、ビルや戸建住宅、加えて道路や住宅周りの舗装部等で遮熱塗料等が施工されている。遮熱・断熱塗料製品といっても、市場からの要求は年々増え、低汚染性や耐候性などの機能性付与は欠かせない状況だ。そこで、各社の遮熱・断熱塗料を「暑さ対策に厳選!遮熱・断熱塗料12選」として、紹介する。
遮熱、断熱塗料/コーティング関連製品Navi
アトミクス、環境への高い意識で差別化図る
アトミクスが注力する屋根用遮熱に「アクアルーフ」と「アトム遮熱バリアルーフシリーズ」がある。昨今、数多くの遮熱塗料が開発・上市されているが、同社製品はオール水性化など環境への高い意識と防水性・耐候性の付与などで差別化を図る。
「アクアルーフ」は、オール水性、遮熱・防錆効果に加え防水効果も備え、長期に渡り金属屋根をガードする。水性なのに二液の溶剤型防錆プライマーに匹敵する防錆力を備えた下塗り兼用中塗りの「アクアルーフ」と、高耐候性で汚れにくい上塗りの「アクアルーフトップ」の組合せで、臭気を嫌う食品工場等に最適だ。顧客からの要望が多い防水性にも拘り、鋼板屋根を熱・錆・雨漏りから守れる塗料として好評を博している。
「アトム遮熱バリアルーフシリーズ」は、同社の屋根用塗料の高膜厚化技術の応用で長期の防錆力を発揮するとともに、遮熱効果を長期間維持する。優れた耐候性のアクリルシリコン樹脂「アトム遮熱バリアルーフSi」とアクリルウレタン樹脂「アトム遮熱バリアルーフ」の2種類を取り揃え、地球温暖化やヒートアイランド現象を抑止、CO2排出量削減効果に寄与する。なお、アトム遮熱バリアルーフは環境省のETVで技術認証されている。
また、普段気になっていてもなかなか見ることができない屋根の状態。そこで活躍するのがドローンによる屋根の調査・診断システム「アトムサーベイシステム(ASシステム)」だ。
これまでに400件を超える依頼を受けており、屋根の状態をその場で調査・診断することができる。診断した結果、早期の工事に繋がらなくても、次の調査時期の提案や最適な修繕のタイミングで改めてアクションできるので、屋根のかかりつけ医として、お客様のアフターフォローも充実させる。
エスケー化研、屋根・屋上・外壁の遮熱塗料提案
近年、猛暑日が増加する中での省エネに対する機運の高まりや、CO2削減の観点から、2011年にJIS化された高日射反射率塗料(遮熱塗料)は再注目されている。工場等の塗り替えにおいては、省エネや環境負荷低減、従業員の熱中症対策などのニーズから採用されている。戸建て住宅の塗替えにおいても、ハウスメーカーはもとより、一般住宅においても認知度が高まり、省エネの観点からも採用が増えている。
エスケー化研では、このような需要の高まりに対し、製品ラインアップの強化を図るとともに建築物の長寿命化と併せて屋根・屋上・外壁の遮熱塗料での塗り替え提案を訴求。屋根用の弱溶剤形遮熱塗料「クールタイトシリーズ」には、JIS K 5675「屋根用高日射反射率塗料」の認証を取得したウレタン樹脂系、シリコン樹脂系、ふっ素樹脂系のグレードを取り揃えている。さらには主に戸建ての塗替え用として「エスケープレミアム無機ルーフ遮熱」を昨年上市した。弱溶剤形無機系超耐候性樹脂とラジカルコントロール技術の相乗効果で超耐候性を発揮。勾配の低い屋根面は、外壁面に比べ紫外線や降雨による劣化が著しいため、より強靭な塗膜で保護する事が効果的である。加えていずれのシリーズも親水性塗膜による低汚染機能を有しており、汚れの付着による反射率の低下を防ぎ、長期に亘り高い遮熱効果を維持する。
陸屋根面には「クールタイトHIエコ工法」を提案。ウレタンゴム系塗膜防水材と、超低汚染タイプの遮熱塗料との組合せとなる屋上防水遮熱工法であり、汚れやすい屋上面に適している。
一方、外壁用には弱溶剤塗料の「クールテクトシリーズ」、水性塗料の「水性クールテクトシリーズ」があり、それぞれシリコン樹脂系とふっ素樹脂系を取り揃えている。 建物の様々な要望に応じ各種遮熱塗料で最適な工法を提案していく。
SG化学、大手損保による省エネ保証付き
SG化学の遮熱・断熱塗料「ダンネスト」は、業界トップクラスの日射反射率92・7%を誇る。特許済の独自技術で作られ、塗布するだけで消費電力は年間平均27・1%削減できることが実証されている。
大手企業の採用事例では、工場屋根にダンネストを施工し、最初の施工から1年間でエネルギーコスト280万円、CO2排出量も約100トンの削減となったことが報告されている(『塗料報知』2023年9月27日付4405号1面掲載)。
さらに、遮熱の効果を裏付けるため同社では、工場・店舗など、空調使用に関するエネルギー量を対象に、ダンネスト導入後空調エネルギー削減量が10%未満の場合、施工時に使用した材料費を保証する、大手損害保険会社による省エネ保証制度を設けている。
ダンネストの特長は、熱の侵入を抑える遮熱効果だけでなく、空調効果を逃がさない断熱効果のダブルの効果を発揮する点にある。従来の遮熱塗料は塗膜中の特殊顔料で太陽光を効率良く反射し、温度上昇を抑制する。冬場も遮熱してしまうため、建物を冷やすことが欠点であった。ダンネストに使用されているアクリル中空ビーズによる独自の塗膜にできる空気層は、室内冷暖房の効果を外に逃がさないため断熱機能も併せ持つ。それにより、夏は涼しく、冬は暖かく快適な室内環境を維持することを可能にしている。
また、ダンネストは高耐久性樹脂を採用しているため、割れ・膨れ・剥がれ・変色がなく長期耐久性にも優れている。昨今の、気候変動による急な寒暖差にも一年を通じて効果を発揮し、多くの社会的課題を解決する高付加価値製品であると言える。「夏は涼しく、冬は暖かい」をコンセプトにエネルギー削減に寄与し、環境面においても、ESG経営やSDGsの達成を目指す企業の取組みに大きく貢献している。
関西ペイント、快適空間創造と建物長期保護両立
関西ペイントでは、住宅市場向け建築用塗料の主力ブランド「アレスダイナミックシリーズ」に外壁用断熱仕上材「アレスダイナミックECO断熱」を追加し、「アレスダイナミックECO断熱遮熱工法」として展開している。
近年は、猛暑・酷暑対策やCO2削減や省エネに対する消費者意識の高まりを受け、住宅塗り替え市場においても「遮熱塗料」、「断熱塗料」への注目が高まっている。この傾向から、市場ニーズの高い遮熱性能に断熱性能をプラスしてほしいというユーザーからの要望を受けて同工法を開発したという。
同工法では、トリプルブロック技術で赤外線の反射と熱の流入を抑制する断熱により、室内の温度上昇を緩和。長年住宅塗り替え市場で高い評価を得ている「アレスクールシリーズ」に、断熱機能、遮熱機能とラジカル制御機能を加えた、アレスダイナミックシリーズ初の外壁用多機能形断熱遮熱工法である。
特長としては、中塗りの「アレスダイナミックECO断熱」が持つ断熱・遮熱機能と、上塗りの「アレスダイナミックTOP遮熱」が持つ遮熱機能を組み合わせたトリプルブロック技術で赤外線を反射、熱の流入を抑え、室温上昇を緩和する。また、酸化チタンに紫外線が当たることで発生し、塗膜を破壊して劣化を促進させるラジカルを、
4つの制御技術で塗膜の劣化を抑制。4つの技術を挙げると、酸化チタンへの紫外線到達を阻止し、ラジカル発生を抑制するラジカルバリヤコート、ごく微量すり抜けた紫外線によって発生したラジカルを捕獲し無害化するHALSラジカルキャッチャー、超強力な結合エネルギーを持つ国産の高性能シリコンレジンで紫外線劣化を阻止、同レジンをすり抜けた紫外線を無害化するUVトラップとなる。
これらにより、快適空間の創造と、建物の長期保護を両立している。
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