日ペマリン、次世代船底塗料で海洋環境に貢献
もっと速く、もっとクリーンに
日本ペイントマリンが船舶塗料市場で展開する「FASTAR」は、従来の加水分解型防汚塗料を、ナノテクノロジーによってそのメカニズムを進化させた次世代型加水分解型船底防汚塗料である。その製品名には、船舶の効率的な運航に貢献できるよう、また船底防汚塗料市場においてスター製品であるようにとの願いが込められたものだ。
さまざまな環境問題に直面している現代社会では、海事産業においても、さまざまな課題を抱えている。国際的な環境基準への適合(Sox規制/EEXI規制)、コロナ禍による長期停泊、海洋環境の変化に即した最適な防汚塗料の選択の必要性、造船の人手不足や熟練工の減少などが挙げられる。
それらの課題解決に貢献すべく、そのコンセプトは〝もっと速く、もっとクリーンに―船速・航行ルート・海水温度などの外的影響を最小限に抑える製品を目指す―〟だ。具体的には、良好な防汚性能やウォータートラッピング技術効果によって船舶の効率的な運航の実現を、最適な膜厚の設定によって塗装工程のスピードアップを図る。。防汚剤の、効率的な活用により海洋環境の負荷軽減に貢献し、実績のあるウォータートラップ技術による低燃費効果で、大気環境の負荷も軽減する。
防汚剤溶出量は、最大50%削減、塗装工程工数は、最大37%低減、連続停泊は、海水温度25℃以下の海域で最大45日、燃費は、船底塗料単体で約8%削減(いずれも同社比)する。「FASTAR」開発に当たり、塗膜表層に着目し、塗料が形成する塗膜の表層改質という手法を採用。高水準の防汚性能を目指し、塗膜表層に独自開発のナノドメイン技術を導入した。
良好な防汚性能の発現には、防汚剤が発する防汚成分が重要な役割を果たす。FASTARでは、安定した防汚成分の溶出が、親水疎水ナノドメイン構造により可能となった。防汚成分は、塗膜表層中を親水ドメインにより拡散、疎水ドメインにより保持され、、安定して溶出される。また、同社の「LF‐Sea」および「A‐LF‐Sea」に採用されている特許取得のウォータートラッピング技術により、塗膜中のヒドロゲルが塗膜表面に拘束された水の層、いわゆる疑水和層(ウォータートラップレイヤー)を形成し、塗膜(船体)と海水との摩擦抵抗を低減させる(FASTARⅥとFASTARⅦに採用)。
今年の1月に発売以降、既に40隻以上の外航船に採用され、良好な防汚性能を発揮しており、同社は継続した追跡調査を実施する方針である。また、内航船向けのFASTARも現在開発中である。施工に当たっては、従来の塗装方法・塗装機器が活用でき、特殊な塗装機器は不要である。
「当社は、船底防汚塗料を通じて、海洋保全と船舶の効率的な運航に貢献し、社会と顧客に新たな価値を提供し続けていきたい」と同社担当者は意気込む。
℡06・6455・9590