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環境対応の高濃度亜鉛末塗料―日新インダストリー

  日新インダストリーは、今年4月に環境対応型亜鉛めっき補修塗料「ジンクプラスS」の発売を開始。従来の亜鉛末塗料に含有されているトルエン、キシレン、エチルベンゼンをはじめとするPRTR法に該当する化学物質を一切含有しない画期的な高濃度亜鉛末塗料として、溶融亜鉛めっきの穴あけ箇所や切断面の鉄素地が露出した箇所の補修用に、好評を博している。
 本製品は、2013年の特化則改正により、エチルベンゼンが表示対象物質となったことを受け、主に屋内で補修塗料を使うユーザーの負担が増大し、PRTR法該当物質を含まない補修塗料を求める声が増えたことを受けて開発された。開発にあたっては、水性化ではエアゾールスプレー型にできず、少量の塗料を使う補修塗料ユーザーの需要に応えられないとして、あえて溶剤使用の環境対応型塗料を目指すこととなった。

 まず樹脂については、樹脂メーカーと共同でトルエン、キシレンが含まれない亜鉛末塗料に最適なアクリル系樹脂を開発。本来、アクリル系樹脂は亜鉛成分と反応してメタクリル酸を生成して密着性を低下させるため亜鉛末塗料には不向きなものだが、共同開発した独自技術で樹脂を変性させてメタクリル酸生成を抑えることで、亜鉛末塗料に適応させている。また、溶剤については酢酸ブチルとPGMを使用している。酢酸ブチルにより臭気が課題となるが、PGMの使用により緩和させており、何よりも、作業現場の声を受けて乾燥時間は既存の亜鉛末塗料と遜色のないものとするため、使用をしている。

 本製品は試作品の段階で、ユーザーからの商品化を求める声が多かったことを受けて、早期の商品化が図られたという。すでに、大手ゼネコン・部品メーカーの関連工場で導入されており、「今後は、乾燥時間の短さは変わらずに、酢酸ブチル抜きの有機則に非該当で完全な環境対応型のものへ、さらに改良していきたい。また、色数もシルバー以外にも増やしていく予定」と同社社長の川西紀哉氏は語っている。

『塗料報知』2016年6月27日号(4145号)掲載