春日井金属塗装所、塗着効率向上へ取り組む
春日井金属塗装所(愛知・大久保清司社長)は現在、全社を挙げ「塗着効率改善」をテーマに事業を行っている。取組みの理由に大久保社長は「ものづくりの現場において材料使用率が50%以下というのは、おかしい。また、将来塗装は自動化されると考えているが、自動ラインで塗着効率が今のままだと非生産的だ」と話し、塗着効率改善を急ぐ。また、安全面に置いて大久保社長の経験から「個人的な見解であるが、手吹きの作業者の安全性を考慮すると溶剤を使用する現場では、静電塗装とは違う方法が良いと考えていた」と話し、静電塗装を今年止めたという。しかし、静電塗装から一般的なスプレー塗装だと塗着効率が低下するのが普通だ。塗着効率改善を目指す同社は、このテーマにどのようなアプローチをしたのだろうか。
塗着効率改善のためテストしたのが、サメス・クレムリンの塗装ガン「エアミックス」。高微粒化性能を有するスプレーガンと大容量のエアレスの長所をミックスした製品である。塗料の跳ね返りが少なく塗りやすいため、高い塗着効率が得られる特長を持つ。
同社では、電気部品塗装に対してこのガンをテスト後、今年2月より本格導入した。実際にロボット部品の塗装において塗装担当者は「一般的なエアスプレーだと狭い部分に塗料が入っていかないが、エアミックスだとそこを狙い塗装すれば入る。膜厚が必要なトランス部品の塗装では5回塗りが3回に塗りとなった」と効果を実感した。静電塗装との代替という部分では、希釈した状態で塗装前の塗料と使用後の残塗料を比べ塗着効率を測ったが、静電塗装とほぼ同じであった。大久保社長は「当初は静電とエアミックスとの同時運用が必要だと考えていたが、現在は完全に代替することができた」と話す。
また、”跳ね返りが少ない”という部分において効果があったのが、作業現場の清掃時間が極端に減少したことだ。これまで1ヵ月に1日は、大掃除が必要だったが、塗料飛散が減り通常の清掃活動で充分となった。
塗着効率の改善をテーマに掲げている同社。今後について、現場責任者は「塗り方が、静電のままのため、オーバースプレーを意識して改善したい」と話す。一方、大久保社長は「動画なども活用し、作業を標準化させていきたい」と、トップと現場が同じ方向を向き、塗着効率改善に努める。