東レ、即効性抗ウイルス粒子多機能塗剤
東レはこのほど、2022年に開発した従来比100倍以上の速度でウイルスを不活化する、即効性に優れる抗ウイルス粒子を採用した多機能な塗剤(加工剤)を開発した。同粒子を、独自の処方で添加剤を配合することにより、抗菌性、防かび性、抗アレル物質性を兼ね備える。2025年度中の量産および本格販売開始を目標に、4月から抗ウイルス粒子を含む水分散液および塗剤を、繊維加工メーカーや日用品メーカーなどの幅広いユーザーに向けてサンプルを提供し、実用化に向けたマーケティングを推進していく。
同社では今回、抗ウイルス粒子の不活化メカニズム解析に基づき、最適な添加剤を処方することで分散性に優れ素材への固着性も高い、高機能な塗剤を開発。同塗剤を含侵加工した不織布において、抗菌性(大腸菌、黄色ブドウ球菌)、防かび性(クロコウジカビ)、テキスタイルにおいて抗アレル物質性(スギ、ダニ)が、抗ウイルスの即効性を損なうことなく発現することを、外部機関での試験において確認した。この結果は、抗ウイルス粒子が添加剤成分と複合体を形成し、塗膜上で相互作用することで、各機能が相乗的に発現したものである。
従来、これらの多機能が必要な場合は複数の薬剤を使用するが、この塗剤は1つの塗剤で複数の機能を発揮するため、製品の多機能化やコストの削減が期待できる。同社では今後、さまざまな菌、カビ、アレル物質種への有効性の検証を行い、高まる衛生ニーズに応える塗剤開発を進めていく。
また、これまでに抗ウイルス性を確認できている、繊維やフィルム、塗料、コーティング剤などの材料に同塗剤を適用することで、抗菌性や防カビ性、抗アレル物質性を付与できる可能性があり、今後、ユーザーへのサンプル評価を通じて各用途における効果の検証を進め、さまざまな素材に適用しやすい抗ウイルス水分散液もしくは多機能塗剤として、2025年度中に本格的な生産・販売を開始する計画である。
用途としては、空気清浄機やエアコンなどのフィルターや、カーテン、衣類、寝具、内装用塗料などの製品に展開することで、医療機関、介護施設、公共施設、さらには一般家庭における衛生環境の向上が期待できる。
問合せは同社広報室(℡03・3245・5179(東京)、℡06・7688・3085(大阪))まで。