グローバルコード、 フッ素代替にPEEK塗料
耐熱、離型性を評価、採用実績広がる ※塗膜性能、グレード比較は上記「資料ダウンロード」へ
貿易商社のグローバルコード(井上健吉社長)は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を主成分とする「PEEK塗料」(製品名:allive®PEEK coat)の日本市場への展開を進めている。同塗料は、韓国の炊飯器加工メーカーZenith(ゼニス)社が開発した製品をグローバルコードが販売総代理店となり、日本市場へ販売する。
既に海外では大手メーカーの炊飯器の内釜やシューズソール成形用金型のコーティング材料としても採用されている。PEEK塗料の特長は、連続使用温度が260℃と高い耐熱性にある。また、耐薬品性として、酸やアルカリ、有機溶剤等に対し、化学的な安定性を示す。そのため、広範囲な用途で使用を可能とする。さらに、耐摩耗性等に優れ、摩擦係数値も低いため、機械部品や摺動部品に用いることで、摩擦と摩耗を低減し長寿命化を実現する。抵抗を抑制する用途で採用が広がれば省エネルギー効果も期待できそうだ。
塗膜は、表面硬度が鉛筆硬度で9Hと非常に堅牢な耐久性を誇り、基材表面を保護する性能を発揮し、フッ素樹脂コーティングの代替として期待されている。今後、有機フッ素化合物(PFAS)規制の状況も含め、市場の拡大が見込まれる。
PFASの規制案は欧州化学品庁が2023年2月7日に公表しており、今年から協議等の調整に入る。欧州では、1万種類以上のPFASの製造、販売、使用(輸入を含む)を制限する規制案が提出されており、産業界における影響は大きく、今後の動向に予断を許さない状況にある。
こうした状況下、グローバルコードは昨年5月開催の「高機能素材Week塗料・塗装設備展」の展示会でPEEK塗料を初披露した。反応も好評で、引き合いも上々とのことだ。現在進んでいる商談例としては、食品メーカーが挙げられる。あるメーカーは、PEEK塗料の特性の一つである離型性(非粘着性)の高さに着目。食品製造ラインの金型に塗装して、フッ素樹脂コーティングのような離型特性を活かすことで生産性を高める実証を行っている。また、ステンレス素材にも塗装できることも高く評価されている。
さらに既存コーティング材と違う点は、耐久性のほか再塗装する期間が長くなるため、メンテナンス時間が低減できるとのことだ。食品以外にも自動車部品や重工業分野での引き合いも増えているそうだ。
市場展開から約1年が過ぎ、PEEK塗料のスペック開発も日々進化。顧客ニーズに対応しながら、オールPEEK塗料仕様や、より離型性を高めたスペックをラインアップする予定だ。今後は、絶縁機能の付与等の開発も進めている。
製造元のゼニス社では開発に携わる人員を多く当てることで、顧客ニーズに合わせた製品開発を構築。「PEEK樹脂を使用する塗料、コーティング材料はいくつか上市されているが、塗膜表面の滑らかさや、開発スピードという面でも競争力がある」と、国内担当者は話す。
PEEK塗料を販売するグローバルコードは、これまで白物家電部材の商材を持ち、大手家電メーカー等が国内外の取引先となっていた。PEEK塗料の事業を手掛けてからは、PEEK塗料の塗装を請け負うパートナーも増やしてきた。同塗料の市場について「量産が始まる企業様も出始めており、非常に将来性のある商材である」と井上社長は語り、市場の期待を受ける。今後は、販売商社との連携も深めていきたいそうだ。
なお、同社は今年も5月8日からの3日間、インテックス大阪で行われる「高機能素材Week塗料・塗装設備展」に出展する。最新のPEEK塗料の塗装見本や仕様、採用事例等を紹介する予定だ。
関連記事:PEEK樹脂 使用の強靭塗膜、CJ展出展
℡06・6567・8577
塗膜性能、グレード比較は下記「資料ダウンロード」から入手できます。