オートカラーアウォード2025、マツダ「MAZDA CX-80」グランプリ
日本流行色協会は、優れたモビリティのカラーデザインを顕彰する制度「オートカラーアウォード2024」を12月13、14日に東京都江東区の東京国際交流館プラザ平成にて開催し、グランプリを決定した。全ノミネート11車両の内、グランプリに輝いたのは、マツダの「MAZDA CX-80」。プレゼンテーションのテーマは、「ELEGANCE & EMOTION〝デザイナーとペインターの共創と挑戦〟」。カラー、マテリアル、フィニッシュ(CMF)が完璧までに仕上がりとされるほどの評価を得てグランプリを獲得した。グランプリ車両含むエントリー車両のCMFデザインをエクステリア中心に紹介する。
マツダ(株) ELEGANCE & EMOTION “デザイナーとペインターの共創と挑戦”(MAZDA CX-80)
エクステリア=メルティングカッパーメタリック、インテリア=ブラック(=非専用色)
インテリア=ブラック、素材はナッパ―レザーと合成皮革(コードパン調/ブラック)
塗装系=3C1B
エクステリアのカラーは「溶けるような銅」をイメージし、磨き整えられたような洗練された柔らかな光を持つ銅をカラーで表現した。
マツダはこれまで金属感の強い鉄をモチーフにスポーティーなマシン表現を行ってきた。今回は同じ金属でも上品な色味を持つ銅をモチーフに暮らしを華やかにする色をつくりあげた。開発当初は、車格を意識した力強さに重点を置いたため、華やかさが感じられなく仏具や銅像のような重みのあったカッパー色だったと言う。
そこで、デザイナーのイメージをモデラーがオブジェで表現し、ペインターと色の共創を重ねた。色開発では、そのまま銅の色にしてしまうと、赤味が強すぎてしまう。そのため材料の選定を見直すなどにより、色味を抑えモダンでエレガントなカラーが生まれた。
受賞の理由として審査員等からは、「カッパーの新しい表現を追求し、見事に実現した。内外装がしっかりコーディネートされ、カラー、マテリアル、フィニッシュの3つのバランスが完璧に仕上がっている。細部までデザインにこだわり、それが一つの物として完成して、圧倒的な存在感を生み出している」と、評価された。
スズキ(株) 新しいスポーティ表現 壁を超えるCMF(スイフト)
エクステリア=クールイエローメタリック ガンメタリック2トーンルーフ(専用色)
インテリア=ブラック×ライトグレー。ガーニシュ部分は一部塗装
塗装系=ボディ、ルーフともに2C1B
特別賞はスズキの「スイフト」(クールイエローメタリック ガンメタリック2トーンルーフ)が選ばれた。同車種の市場調査から「スイフト=スポーティではない」というメーカーが予想していない意見から、「スイフトってこうだよね」という同社・デザイナーの思い込みを見直すところから始まった。
スポーティー表現の壁を超えるため、コンセプトに「エネルギッシュに軽やか」とし、毎日の運転すらも楽しく遊びに変えていく存在になるよう新しいスポーティを提供するためCMFの開発が始まった。
「未来的人工的」だけど、健康的でエネルギッシュさと軽やかさを感じる。それを新型スイフトのスポーティという解釈とし、少しグリーンに寄せたイエローを設定した。この色は彩度が重要だったと言う。上げすると元気すぎ、下げると不健康にも見える。絶妙なバランスの彩度にするため、何度も微調整が重ねられた。
また、軽やかさを表現するために光輝材の配合を検討。大粒径のメタリックを使用しながらも、ハイライトでも光り輝くのではなく、うっすら白く見せ、半透明な白い幕を覆ったような角度を生み出した。
エクステリアのルーフ色には、グレー色を採用。このコンビネーションが審査員から高い評価を受けた。「新しいスポーティを追求し、伸び代を感じさせる原石を生み出した。このCMFが次世代の車への高い関心を集めるきっかけになるだろう」と、受賞理由の一つとなった。
クールイエローを引き立たせるため、あえてブラックツートンではなくガンメタリック(グレー系)にした。コントラストをより軽快な印象を際立たせ、視覚的に軽い感じにさせている。スタイリングの魅力を引き出せる理想的なコンビネーションがガンメタリックだという解となった。
(株)SUBARU 休日の移動を豊かに彩るパートナー(LEVORG LAYBACK)
エクステリア=アステロイドグレー・パール
インテリア=ブラック・アッシュ
塗装系=2C1B
LEVORG LAYBACKは、先進的なスポーティな「凛とした様」と豊かで大らかな「包み込むような様」、これらを掛け合わせた「凛と包」をデザインコンセプトに、CMFデザインに取り組んだ。
エクステリアは、グレー色をベースにわずかなパープルリッシュのパープルと、ブルーの干渉パールを配合。輝きを付与することで、旅先への期待や好奇心をイメージした躍動感を表現。グレーすぎて無機質にならないよう、輝きが強すぎてエレガントにならないよう色相やパールの量を何度も調整。こうした開発したアステロイドグレー・パールは、モダンで奥ゆきのある大人の旅を連想させる世界観を表現した。行き先を決めずにきのままに、そんな心地よい曖昧さ、リラックスした表現した色となった。また、フロントマスクを引き締める象徴的なグリルウイングには鈍く光る金属のような表情にするため高光沢のサテンメッキを採用。豊かさと頼もしさを強調している。
インテリアのコーディネートは、アッシュ色とブラック色で「凛と包」のデザインコンセプトを表現。暖かみのある「包」のアッシュ色とスタイリッシュの「凛」の遊び心を加え、リラックスできる空間を創りあげた。
同色の占有率は、7色中の23.4%と高く、アウトドアでもフォーマルでも両シーンの用途で受け入れられた色となった。
三菱自動車工業(株) ”BEAST MODE” ライフスタイルの可能性を拡げるCMF (TRITON)
エクステリア=ヤマブキオレンジメタリック(専用色)、グラファイトグレー
インテリア=ブラックレザーオレンジアクセント
塗装系=2C
ピックアップトラックにインパクトを与えるカラーを追求したのがTRITONの専用色「ヤマブキオレンジメタリック」。自然の中でも、街中でも印象の残る力強さと高揚感があるボディーカラーを開発した。
TRITONのデザインコンセプトは「ビーストモード」。勇猛果敢でいかなる土地へも到達できる。そんな思いがデザインに込められている。TRITONは、1978年から発売されている歴史のある車で歴代車にもオレンジを採用していた。そこでオレンジのブランド構築を狙い色を育てることにし、オレンジの色域で最もコントラストが強く、インパクトを感じるヤマブキ色のメタリック開発を進めた。
鮮やかさと輝度感の両立は難しく、発色を追求すると隠蔽が悪く量産化が難しい。メタリックを増やして輝度感を強くすると色が濁り透明感がでない。試行錯誤を繰り返し、数種類の着色、アルミを使用することで隠蔽性と発色の両立しイメージ―したカラーとなった。
グラファイトグレーは三菱自動車を象徴するベーシックグレーとして開発し、重みを感じるグレーを目指した。デザイナーは、ハンマーで石で割ったところからインスピレーションを受けたとのこと。
今回開発された2カラーは市場にも受け入れられ、ヤマブキオレンジメタリックは6色の展開中で24.5%、グラファイトグレーは22.0%の市場占有率となっている。
日産自動車(株) いろ薫る彩 (NOTE AURA)
エクステリア=フォレストグリーン/スーパーブラック 2トーン(専用色)
インテリア=ワイマラナー
塗装系=2C1B
プレミアムコンパクトカーという位置づけのAURA。今回のマイナーチェンジでフロントデザインを一新するとともに、機能や使い勝手の向上を図った。AURAらしく薫る魅力を伝えるために、CMFのテーマを “薫る彩”(かおるいろ)とした。輸入車にも引けを取らないような凝縮されたコンパクトカーであることを表現するため、最も過酷な性能が求められるアウトバーンでも上質な走りを感じられるような薫りとは何かを探求したと言う。
エクステリアカラーを選定するに当たり、環境意識の高さや平穏を意味するグリーンに注目。数年前からインテリア、ファッション、工業製品においてトレンドカラーとして様々な場面で見るようになった。特にプレミアムコンパクトカーがメジャーな欧州地域から広がっていくトレンドをキャッチし、今回グリーンの色域でチャレンジした。
新開発のフォレストグリーンは、針葉樹が美しい南ドイツの森からインスピレーションを得た。ベースは深い黒い森のような落ち着いた印象を持たせ、ハイライトとシェードのコントラストで躍動と静寂を表現。グリーンブルーのパールで色味をコントロールしながら、色の重なりにより低彩度でも表情の豊かさと深みを感じるように仕立てた。
インテリアは、ワイマール地方原産の猟⽝「ワイマラナー」をイメージをモチーフにコーディネートされている。
フォレストグリーン/スーパーブラック 2トーンは13色の展開中で21.0%。
日産自動車(株) MYROOM into the nature – 部屋ごと出かけて憩うクルマ – ()
エクステリア=サンドベージュ/ホワイト 2トーン (専用色)
インテリア=ブラック
塗装系=2C1B
どこでもくつろげ、自分の部屋が自然の中に移動する。そんな夢を兼ねる車にと生まれた一台。大量生産前のコンセプトカーが東京オートサロン2022に出展し、顧客の評判を得てそのデザインコンセプトは評価され開発が進んでいったCARAVAN MYROOM。
エクステリアはソリッド色の2コート。気取らぬスタイルで自然なトーンにした。室内が熱くならないよう2トーンのルーフは、ホワイトを選定。塗装はピラーの部分の途中で2トーンになっており、塗装する再に専用の治具を使用したとのこと。
インテリアの最大の特長は、室内の大部分を占める木目調のデザイン。家具メーカーのノウハウを得ながらフィルム貼りの方向にこだわり仕上げられている。
トヨタ自動車(株) Experience YOUR Amazing (レクサス LM)
(株)本田技術研究所 2つの顔を持つFREEDのCMF (FREED AIR / FREED CROSSTAR)
カワサキモータース(株) カラーの力でSDGs 伝統と革新のRED (Z900RS)
デザイナープロフィール等は、日本流行色協会HP