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韓国KCC Corporation 粉体/自補修水性を日本市場へ

はじめに

韓国最大手塗料メーカーKCC Corporationは、工業用粉体塗料「KARUMEL」と自動車補修用水性塗料「SUMIX」を日本市場へ展開すべく、塗料販売商社NCC株式会社(長野県,伊那市)と協働し、関東・中部地区を中心に流通化を目指す。商品展開へ向け、日本市場への展望と日本メーカーとの差別化、実用へ向けNCCをパートナーとした理由、期待を述べる。

話:㈱KCC JAPAN(東京都,千代田区)代表取締役 田代 直之

1. KCCは塗料業界においてどのような存在感を示しているか、またその強みとは

KCC Corporationは、韓国国内で最大シェアを持つ塗料メーカーです。1958年の創立以来、船舶用・建築用・自動車向けの塗料全般(40%)、ガラス・天井材・断熱材等の建材(39%)、シリコーン・セラミック・ガラス繊維などの原材料の製造(21%)などの事業を展開しています。自動車分野については、100%水性化を実現した現代自動車(Hyundai Motor Company)向けに塗料を供給しています。国内外26箇所に生産拠点を持ち、KCCブランドの確かな性能と付加価値をお客様へお届けしています。

2. 塗料の日本市場展開について

日本市場への展開にあたっては、日本の塗料市場全てではなく、我々が製品の価値や強みを十分に発揮できる、粉体塗料と自動車補修向けの水性塗料に焦点を当てました。


韓国の粉体塗料市場は、環境対応を主要因として日本よりも早く市場に浸透してきました。その結果、日本では少ないホイール用途のアクリルクリア、鋼管用塗料などのユニークな製品も開発・導入されています。KCCは韓国の粉体市場で25%と最大シェアを有しており、韓国内の工場では高付加価値製品、ベトナム工場では価格競争力のある製品、トルコ工場では鋼管用特殊粉体塗料など、世界の動向を見極め常に最善な方法で安定した生産をしています。


比べて日本の粉体市場は、需要に対して国内塗料メーカーの供給が追いつかず、お客様が塗料の確保に苦労していると聞いています。KCCは大規模な製造ラインと常備色の幅広いラインナップを最大の強みとし、日本の輸入品であることを感じさせないほどの短納期でお客様へ製品を提供できると確信しています。

自動車用塗料の市場については、韓国で現代自動車が、2009年より水性化のプロジェクトを開始し、7年をかけ2016年に直営サービスセンター100%水性化を実現しました。KCCは韓国の自動車補修業界においても35%のシェアを持つトップサプライヤーです。一方日本では、トヨタ自動車が2025年までに100%水性化を目指しているものの、世界に比べ圧倒的に溶剤系塗料を使用しています。こうした動きは、今後水性化が本格的に進んでいくことから、私たちの水性塗料も流通へ向け大いなるチャンスがあると踏んでいます。日本における外資系の塗料の印象は、カラーバリエーションの少なさや費用対効果、作業性が劣る点を懸念する声が上げられます。

KCCは優れた現場対応システム、実績に裏打ちされた使いやすさと品質を武器に、日本の自動車補修市場に合わせたプロダクトラインナップを提供する計画ですので今後の動向にご注目下さい。

3. 日本市場への展開へ向け、パートナー企業となるNCCについて

2012年、日本法人として株式会社KCC JAPANを設立しました。設立年も同じ、名前も似ていますから、ある意味運命的だったのかもしれません。日本でのパートナーを選定するにあたり、NCCと一緒に取り組んで行きたいと結論付けた理由は、NCCの強みである提案型営業、お客様に新しい物や情報を常に提供する姿勢に共感したからです。塗料の販売商社でありながら、展示会への出展でお客様との出会いを創出し、メールマガジンやWEB活用など商社の域を超える活動に、本市場で足場のない海外メーカーにとっては期待できるという判断でした。常に業界の動向に目を向け、早くから水性化の提案について着目していたNCCの姿勢とKCCの方向性と完全に一致しており、日本市場へ橋渡しをするパートナーとして大いに期待しています。

4. 今後の展望とありたい姿

粉体市場においては2021年までに年間5億円の販売目標を掲げています。業界については、日本の粉体市場の多くを占める鋼製家具や家電、配電盤、自動車部品業界へのアプローチをしていく予定です。また、NCCの通販サイトでの販売も開始していきます。


自動車補修市場においては、当面の間、業界内の認知度を上げる活動として、水性塗料の使用感を体験していただくパネル塗装や、業界紙、WEB情報発信、展示会への出展を積極的に行い、ネットワークの構築を計っていきます。また数年内には、日本国内にトレーニングセンターを開設し、技術アドバイザーの常駐や在庫・物流機能の整備をしていく予定です。

▼2019年5月 有限会社加藤自動車板金工業様(長野県小諸市) パネルデモ実施

 

 

 

 

 

加藤欽也会長と加藤輝夫社長は「良いものは取り入れていきたい、新しいものが出てくれば古いものにはこだわらない」 佐藤主任は「今までの水性よりも使いやすい」とおっしゃってくださいました。

(会社概要) 
KCC Corporation 
設立:1958年12月
従業員数:5,230人(2018年12月31日基準)
資本金:564億KRW (約52億円)
売上高:3兆3,473億KRW (2018年基準、約3,093億円)
生産拠点:韓国15工場 海外11工場
販売拠点:韓国17ヶ所 海外20ヶ所
事業品目:自動車用塗料、工業用塗料、船舶塗料、建築塗料 他
建築内装材製造、樹脂サッシ製造、各種ガラス製造、シリコーン製品等の原材料製造

▲KCC本社(韓国)

▲中央研究所(韓国)

 

 

 

 

 

 

工業用粉体塗料「KARUMEL」

 

 

 

 

 


KCCが環境にやさしい塗料開発の一環として、韓国国内で初めて開発した粉体塗料。溶剤型塗料の使用による公害問題を解決し、塗膜性能も溶剤型を超える性能を持つ。日本メーカーに比べ、常備色を豊富に揃え、大規模な製造ラインにより、韓国からの物流デメリットを感じさせない納期で粉体塗料の提供を実現する。さらに、粉体塗料では表現できなかった特殊模様の塗料の開発や絶縁粉体塗料を独自技術により開発した。

 

自動車補修用水性塗料「SUMIX」

 

 

 

 

 


水性・油性の旧塗膜に補修できるのはもちろん、優れた隠ぺい力で現場では使用量の削減効果が得られ、豊富な原色数と優れたCCMシステムにより多様な色を調合することができる。また、速乾性と優れた外観を両立した自動車補修用水性塗料。KCCは大きな機動力を武器にこれまでの常識を覆す水性塗料の展開を目指している。