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深刻な海洋プラスチックごみ、課題と解決策を探る

「海洋プラスチックごみ」とは、海洋環境中に存在するプラスチックの廃棄物や破片のことをいう。これらプラスチックごみは、海洋生態系に深刻な影響を与える環境問題として世界的な懸念が広がっている。

河川でプラスチックごみを閉じ込める (画像提供:The Ocean Cleanup)

 

海洋に流入するプラスチックごみの大半は、世界の大河から流れ出ると言われており、地域的にはアジア地域が中心となっている。海洋プラスチックごみは、世界五つの海洋でごみが集積してしているが、北太平洋のど真ん中に存在する「太平洋ごみベルト」と言われるエリアの広さは、フランスの面積の3倍(日本の4.2倍)と巨大である。

海洋プラスチックごみは、海洋生物や生態系に影響があり、プラスチック片を誤って摂取することで海洋生物の消化管に詰まったり、窒息するなどの被害が出ている。マクロプラスチックを食べる海洋動物は、クジラ、ウミガメ、海鳥などがある。その胃の中にはプラスチックごみが詰まっている。小さいマイクロプラスチックは小魚をはじめ貝類、サンゴ、カニなどが食べている。またプラスチックに含まれる有害化学物質の害も懸念されている。

海洋プラスチックごみ問題の解決策として、次のようなアプローチが考えられる。

➀プラスチックの削減目標を設定し、消費量を削減する
②リユース可能な製品や環境にやさしい素材(バイオプラスチックなど)への変更を促す
③廃棄方法や環境負荷についての表示を行う
④圧倒的に多い使い捨てのプラスチック飲料ボトルを回収する
⑤海岸や海洋でのごみ回収を強化してクリーンアップ活動を行う
⑥一般市民や企業に対しての教育や啓発活動を通じて、プラスチックごみ問題への意識を高める

複数のアプローチにより現在対策がとられている。

PLOオーシャン クリーンアップ の河川での収集活動 (画像提供:The Ocean Cleanup)

           

WEB塗料報知では、「NPOオーシャン・クリーンアップ」の海洋におけるプラスチックごみの収集活動について記事をアップした。現在、同団体の活動は世界中の河川にも拡大し、海洋に流れ込む前に河川の段階でプラスチックごみを収集している。海洋プラスチックごみの大部分は河川を経由して流れ込むので効果的な対策方法である。

システムの中心となるのは「インターセプター(せき止める)」と名付けられた船である。「インターセプター」は、自動運転システムを搭載しており、24時間連続して運転することができる。太陽光発電を利用して動作するため、環境にやさしいエネルギーを使用している。1台で1日に最大50トンのプラスチックごみを収納する能力がある。

ごみを収集した後、浮遊式ベルトコンベアを使ってごみを船内のコンテナに分類・収集する。ネットワーク対応しており、遠隔操作やモニタリングが可能である。すでに世界中の主要な河川で導入が進んでいる。いくつかのプロジェクトで成功を収めており、特にアジアの河川の活躍が目覚ましいという。

海洋プラスチックごみ問題は、地球規模で取り組むべき重要な課題である。各国や地域、個人のレベルでの積極的な対策が求められている。

河川でのプラスチックごみ収集作業 (画像提供:The Ocean Cleanup)

 

集められたプラスチックごみ(画像提供:The Ocean Cleanup)