育成就労制度活用などで人材の確保を
日塗工が発表している業況観測アンケートから工業塗装分野の業況を把握する。7月の塗料金額ベースの結果は、自動車が前年度比3・1%増、電気・機械・金属が5・4%増と、春期の下降気味の業況から持ち直している。このことから顧客の産業ごとに差があるものの工業塗装分野でも稼働率が上がってきていると予想できる。しかし、仕事量が増えても人材不足により、人手が足りず仕事を受けられないという声もある。こうした中で人手の確保は経営者の手腕の一つとも言える。
日本人従業員を7年で5割増に成功した愛知の工業塗装事業者は、企業風土こそ最も重要とし、権限移譲を目指すエンパワー戦略をとった。制度運用をスムーズに進行するため経営情報の共有や人事評価制度の再構築を実施。また、プロジェクト制度を導入しチーム間のコミュニケーションを円滑にした。こうした施策により、50%超であった離職率が、15%以下に低減した。
一方で、日本人の確保が難しいという中で、外国人の活用も重要だろう。2027年から育成就労制度(=図)が始まる。業界団体の推進活動により、特定技能1号に「金属製品塗装業」が組み入れられる方向が見えてきている。そのため、制度を活用することで、育成就労期間(3年)+特定技能1号期間(5年)と8年間は安定して人材を確保することも可能だ。ただし、就労者の転籍が可能となるなどの制度が変更される。同制度の運用により外国人就労の差が出てくる。働き手が長く働きたいと思える企業風土は、事業継続のためにも人種にかかわらず必要条件となるはずだ。