ドローン検査、安全性確立 スクール開講で人材開発
昨年6月に日本建築ドローン協会(JADA、本橋健司会長)と日本UAS産業振興協議会(JUIDA、鈴木真二理事長)は、教育事業の覚書を締結。これにより「ドローン建築物調査安全飛行技能者コース」を共同で創設していた。
年が明け1月24日、ドローンの教育訓練を行うミラテクドローン(佐々木康之社長) が同コース最初の認定スクールとして、開講した。両団体は都市部のドローンによる建築物調査の安全な仕様を目指すと同時に、教育事業を進めていく。
15階以上の共同住宅数は2003年の33万戸から、2018年には93万戸と約3倍に増え、特に東京都、大阪府などの都市圏でその傾向が見られる。高層階の共同住宅が増える一方で、打音検査を実施する検査員不足の懸念が持ち上がっている。 こうした背景に、ドローンを活用した点検が期待されている。同時に、日常点検、定期点検、臨時点検などによる点検の省力化も求められていた。
折しも、ドローンの操縦技能が国家ライセンス制に移行。市街地などの目視できない高さで飛行させる「レベル4」が昨年末に解禁となり、都市部でのドローンを活用した新しい取組みを国は推し進めている最中にある。今後も操縦技能の取得者は増加すると予想されているが、実際の各現場でビジネスとしてドローンを活用していくには、都市部での安全を考慮した実学が必要となる。
JADAとJUIDAは、都市での安全飛行を実現する建築物調査に着目。そこで今回のコースを設けたわけだが、具体的な安全対策には、ドローンを物理的にラインで繋げる係留装置等を採用した。係留技術には、1点係留と2点係留があり、高層階の共同住宅等には2点係留によるドローン診断を行う。2点係留は、ドローンを建物の屋上と地上の2箇所をラインで結び、フライアウェイ(ドローンの離脱)を物理的に防止する。また、安全対策において、同コースではチーム編成による検査の重要性を重視する。管理者、パイロット、補助者の3名以上による体制が必要となり、本コースの実技試験でもチームビルディングが求められる。