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東京大学、付着性と抗菌・抗ウイルス性両立のナノコーティングを開発

東京大学は、植物性ポリフェノールと銀イオンから、付着性および抗菌、抗ウイルス性を両立させる無色透明のナノコーティングを開発したと発表した。繊維などのさまざまな素材をコーティングでき、洗濯しても剥がれず効果が持続する。

植物性ポリフェノールの一種であるタンニン酸は、多様な材料の表面に高い吸着性を示す。また、適度な濃度の金属イオンと共存させることにより、物体表面に金属‐ポリフェノール錯体からなる被膜を形成する。今回、タンニン酸に添加する金属イオンを検討したところ、銀イオンを用いて生成したコーティングで優れた付着性と抗菌、抗ウイルス性を確認。新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)と類似の構造を持つエンベロープウイルス、大腸菌、黄色ブドウ球菌を用いた実験で抗ウイルス性を確認した。この銀‐タンニン酸複合膜は、タンニン酸単体や銅、鉄などの他の金属と複合化させた場合に比べ、ウイルスの感染価を100分の1以下に抑えられた。また、衣服へのコーティングにより、消臭効果も認められた。

銀-タンニン酸によるコーティングは、絹、綿、ポリエステルの各繊維上で厚さ約10nmの皮膜を形成し、洗濯しても剥がれ落ちないことを確認。浸漬法やスプレー法により、繊維以外のさまざまな材料にもコーティングできる。安全な材料で簡便な塗装工程のため、今後さまざまな材料表面に抗菌性、抗ウイルス性を付与する手法として活用が期待される。