日塗商、ブロック研修会終了
日本塗料商業組合(海老名孝理事長)の2019年度ブロック研修会が終了した。
3月に予定されていた北関東/北信越/山陽・山陰/四国の各ブロック研修会は新型コロナウイルスの感染拡大を避けるため、開催中止となってしまったが、2月に実施した北海道/東北/中部は下記の通り、無事に開催された。
北海道/東北/中部の各ブロック長は、下記の<メッセージ>をブロック会員、あるいは同地区の塗料販売店の組合員に投げ掛け、今後の一層の参加を促している。
今年度も全ブロックでの開催が予定されていたが、来年度も全ブロックにて研修会が実施され、それぞれ時宜を得たタイムリーなテーマで活性化が図られることが望まれる。
(2019年度は「働き方改革」「健康経営」「BCP」といったテーマが目立った)
ブロック長<メッセージ>
日本塗料商業組合 佐々木泰宏・東北ブロック長
「日塗商を少しでも身近なものにする第一歩が、地区ブロック会です。地区ブロック会に参加することで、日塗商執行部との距離を縮め、普段の業務に役立つものを引き出しましょう」
日本塗料商業組合 高倉雄司・北海道ブロック長
「毎年2月頃を目処にブロック研修会と称して講演会を開催しております。テーマは時期折々で変わりますが、皆様のご商売に役立つような題材に適した講師の方にお越し頂いております。会員の社員の方も参加フリーとなっておりますので、お気軽にご参加いただければ幸いに存じます」
日本塗料商業組合 湊正俊・中部ブロック長
「当ブロックの年に1回の研修会は、ここ3年で、マーケティング、ブランディング、マネージメントと一見難しそうで中小零細企業には関係のないと思われるような言葉ですが、実は、業態、規模に関係なく、商売を行なう上で、本質的であり、かつ具体的な内容の研修を行ってきました。日塗商青年部の取組みも然りですが、今だからこそ必要なことをテーマに取組んでおり、これから会社を担っていく方には特にご参加いただきたいと思っています」
東北ブロック研修会(2月7日開催)
日本塗料商業組合東北ブロック(佐々木泰宏ブロック長<佐々木塗料代表>)は、2月7日午後3時45分から宮城県仙台市青葉区本町のパレスへいあんで、ブロック研修会を開いた。今回は、日塗商宮城県支部(星合邦生支部長<富士塗料興業社長>)がホストを務めた。
冒頭、佐々木ブロック長は「東北地域では毎年災害に見舞われている。起こっときは策を講じるのだが、長続きしないことを何回も経験している。今回はどうやって地に着いたものにできないかと思い、開催する。参考にしていただきたい」とあいさつ。
その後、テーマ「過去の事例から学ぶBCPのポイント」をMS&ADインターリスク総研が、また「私のBCPに対する体験談」を日塗商福島県支部長の吉仲真也氏(アサカ塗料商会社長)が、それぞれ行った。
「過去の事例から学ぶBCPのポイント」では、①過去の事例から学ぶ教訓(熊本地震等の対応事例から6つの教訓を紹介)、②仙台市で考慮すべき災害(地震 津波 水災 土砂災害)、③習熟度に応じたBCPのポイント(緊急時体制の構築、人命安全確保対応の徹底、素早い現状把握の整理、狭義のBCPの整理)について、BCPの必要性の認識と出来るところから取組んでいくことについて話した。
また「私のBCPに対する体験談」では、2011年3月11日の東日本大震災発生時に福島・多賀城市で業務にあたっていた同氏による、松川浦に押し寄せる津波による被害、また想定をはるかに超える福島第一原発施設への高さ15メートルの津波とその後の汚染水の状況などを映像で振り返り、ライフラインがストップするなか、災害時にはラジオ、固定電話、簡易トイレ、ガスコンロ、飲料水などが必要であると身につまされたと話した。同時にいま現在も復興に向け取り組んでいる、とあった。
その後、懇親会が開かれ、あいさつに立った日塗商理事長の海老名孝氏が「東日本大震災後のお見舞金の制度ができた。日々備えをすることが被災を受けた方々のお気持ちに副うものと思う」と話し、「商売の努力不足を認め、自己責任としてやっていこう」「無形のオリンピックレガシーとして、復興に向けての各国からいただいた感謝を発信して記憶に留めていこう」と呼びかけた。
乾杯の発声を日塗商岩手県支部長の太田茂樹氏が行い、歌手によるアトラクションを楽しみながら懇親し、閉会のあいさつを日塗商専務理事の渋谷和伸氏が行った。
北海道ブロック研修会(2月12日開催)
日本塗料商業組合北海道ブロック(高倉雄司ブロック長<サンヴェール社長>)は、2月12日午後4時から北海道札幌市中央区南7条西の札幌第一ホテルで、ブロック研修会を開いた。
あいさつに立った高倉支部長は「今年から中小企業にも有給5日の義務化などの働き方改革が始まる。年間労働時間が下がるなかで売上を上げていかないといけない。経営のなかにそれらを組み込んで商売をする時代になった。なにより従業員とお互いに良い関係であることが大事である。今日はしっかり勉強して今後に繋げていきたい」と述べた。
講演では、社会保険労務士の大磯隆氏(ぽぷら社会保険労務士法人)が「働き方改革について…これからの就業のありかた」のテーマで、労務を取り巻く環境・背景、最近の法改正、ルールの確認、最近の労使トラブル事情、トラブルを起こさないために、などについて講演した。
最後に、適正な労務管理がトラブルを未然に防ぐことになる。また、快適な職場環境が形成されることにより、優秀な人材の確保が可能となる。結果、業務の質が向上し、ピンチに強く、チャンスを活かせる経営に繋がる、と話した。
研修会終了後、懇親会が開かれた。
高倉支部長が「皆さん、おばんです」とあいさつし、「さっぽろ雪まつりが昨日終わったが、200万人の来場者と発表があった。昨年に比べ60万人が減った。その多くは中国の方々である。観光業への影響は少なからずわれわれにもあるだろう。今日の研修を自社に活かしていこう」と述べた。
続いて、来賓の日塗商理事長の海老名孝氏は、昨年秋の理事会において北海道支部の皆さんにはたいへんなおもてなしを受けた、と感謝を述べたあと、日本のトップ企業30社の経営者でも個人消費の動向予測にばらつきがあるなど、先が読めない時代であるとし、翻って「われわれは常に努力を怠らず、知恵と勇気をもって取組んでいこう」と呼びかけた。
乾杯の発声を吉山塗料店の小坂好弘社長が「今日はたいへん良い勉強になった。うちの会社で働いていて良かった、と社員から思われる会社にしないといけない」と行い、歓談に入り、中締めを山矢商会の山矢卓社長が行い、閉会した。
中部ブロック研修会(2月18日開催)
日本塗料商業組合中部ブロック(湊正俊ブロック長)は、2月18日午後2時から愛知県名古屋市中村区名駅のウインク愛知で、ブロック研修会を開いた。
あいさつに立った湊ブロック長は「今日は組織マネジメントと健康経営について学びたいと思う。組織マネジメントはシンプルなことのようで誤解もあったりする。大企業であってもきちんと運営できていないところもあると聞く。我々は少しでも取入れて良い会社経営をしたいものだ。会社全体の組織だけではなく、部や課にも適用できる。健康経営と合わせ仕事の中に役立ていきたい」と述べた。
続いて日塗商の海老名孝理事長が、業界の誰もが天候、経済、外交など他人のせいにし、誰ひとり自分たちの努力不足や見込みの甘さについては語らない、と話し、また経済界トップ30人の景況予測アンケートでもばらつきがあり、これから先がわからない時代にあると認識したうえで、「我々は時代の流れに応じて商売をしないといけない。できなければ衰退しかない。需要を求め、勇気と希望をもって事業展開を図ろう」と呼びかけた。また、オリンピック・パラリンピックの年に無形のレガシー、復興に向けていただいた感謝を世界に発信し、心をひとつに記憶にとどめることが大事だ」と話した。
講演は「こんなマネジメントをしていませんか」を渡邉健太氏(識学)が、「健康経営を始めよう!~私たちもできる! 企業における健康経営~」を伊藤謙吾氏(大塚製薬)がそれぞれ行った。
はじめに渡邉氏は識学を用いた組織マネジメントについて解説し、「思考の癖による錯誤、つまり認識のずれを含んだ行動が組織の成長の阻害要因となる」とし、常に位置を考えることが大事であり、識学により意識構造を正しく通過する状態がもたらされ、スムーズな組織運営を実現させる効果があると話した。また、組織内の課題について、識学に基づいたフレームワークで解説を行った。
次に健康経営アドバイザーでもある伊藤氏は「企業が従業員とその家族の健康を考え取組む(投資する)考えにより、様々な問題の解決と企業イメージに繋がる」と話し、健康経営の5つのステップ、実践体制、健康づくり施策、健康経営優良法人の認定の流れ等について紹介した。その他、健康経営経営者コミュニティサイト「健康社長」や感染症を避ける免疫力を高める方法についても言及した。
最後に、大樹生命保険公共・広域法人営業部の福島千愉氏が団体定期保険について、福利厚生の一環として従業員や家族の安心に繋がるものであるとし、新規加入の勧めを行った。また、塗料・塗装の業界専門紙と連携し、働き方改革と絡めた健康経営についても、今日の講演を聞いて終わりにならないように発信していきたい、と話した。
閉会のあいさつを日塗商岐阜県支部の毛利支部長が「渡邉氏が話す、位置を認識することが改めて大事だと勉強になった。また、大樹生命さんからは健康経営という面白いテーマを紹介いただいた。従業員のプレゼンティーイズムを意識することが大事だとわかった。海老名理事長は常々ブロック活動が大事だと力を入れてこられた。ブロック研修会は組合員のためにあるものとして来年も参加しよう」と結んだ。
ブロック研修会の模様を伝える『塗料報知』2020年3月27日号8面掲載→