ユカエンジニアリング、ユニット型蒸留装置開発
溶剤リサイクルを内製化
大阪油化工業(堀田哲平社長)のグループ会社であるユカエンジニアリングは、蒸留プラント建設の工期短縮を実現した「ユニット型蒸留装置」を開発した。これまで溶剤リサイクル等の蒸留プラントを建設する際、プラント計画から試運転まで3年以上の期間を要していた。そのため、建設時と運用時とではビジネス環境の変化等が生じ、蒸留プラントを有効活用できない事例が生じていた。
ユニット型蒸留装置は、機器や構成部品を事前に設計した標準モジュールとして組み合わせたユニット型。完成品を現場に持ち込みボルト接合するだけで試運転・実運用が行える。それにより、プラント計画から試運転までの期間をこれまでより約3分の1程度にまで短縮し、現場工期だけなら1週間程度で済む。また、設計寸法を各ISO、JIS規格(12、20、40フィートコンテナ)に準ずることで、さまざまな工場環境に適合しやすい設計になっている。
標準規格で構成されているが装置の拡張性は高い。その理由は、機器や構成部品において調達しやすいパーツで構成しているためだ。バルブや配管等、通販サイトで購入できる部材を使用したためユーザー独自でカスタマイズできる仕様になっている。そのため、モジュール製品であっても高い拡張性を実現し、装置能力を変更した場合でも対応できる。条件変更においては、大阪油化工業がレシピ提供も行っておりフォロー体制が充実している。
近年、溶剤価格の上昇に伴い、同製品の上市以来問合せが増えていると言う。特にこれまで溶剤を廃液として産業廃棄物扱いで処理していた工場の引き合いが多いとのことだ。その背景には、月に100kℓ以上の溶剤を使用する大規模工場は、既に溶剤リサイクルプラントを運用している。しかし中小規模の工場の多くは、リサイクル事業者に処理を依頼するか、産業廃棄物として排出するかに分かれる。ある程度の処理量がないとリサイクル事業者は引取りできないため、廃棄に回ることになる。廃棄物処理費が高騰し、溶剤価格も上昇している昨今では「溶剤処理を内製化したい」というニーズが高まっていた。
堀田社長は「これまで大規模または、ラボレベルのサイズの蒸留再生装置は存在していたが、ユニット型の200ℓ~2千ℓ処理できる装置は市場にほぼ存在しなかった」と差別化できる蒸留装置であることを強調。また、「モジュール化、寸法の標準化をすることで納期とコストも大幅に縮小できる」と自信を見せる。導入コストは1500万円~3500万円とのことだ。
なお、大阪油化工業は2024年1月31日から3日間、東京ビックサイトで開催される新機能材料展に出展する(小間番号:6N‐04)。「ユニット型蒸留装置」のほか、「コンテナイン小型排水処理装置」の実機を出品する予定だ。